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名前を与えるということ
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古くから、言葉には力が宿るとされていて、
それを言霊と言う。
だから、私はあれらを
「あれ」「それ」としか呼ばないように
最新の注意を払っている。
外を歩いていると、
視界の端で気づいてもらいたそうに
チラチラとこちらを伺っている「あれ」も
家の中でわざとドタドタと足音をたてて
振り向かせようとしてくる「それ」も
私とあなたの後ろにいる「これ」も
絶対に名前を与えてしまわないようにしている。
名前を与えてしまったら、もう元には戻せないから。
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