ぼんやり
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昨晩の出来事。
部屋の電気を消して、ベッドに潜り込む。
私は幼い頃から寝付きが悪いせいか、
真っ暗な中で天井を眺める癖がある。
最初はただただ暗いばかりで何も見えないが、
段々と目が慣れてくると、
カーテンの隙間から差し込む細く青白い光や、
家具の輪郭がぼんやりと見えてくる。
これを暗順応というらしい。
そうして、部屋全体がなんとなく見渡せるようになると、
ようやく目を閉じて眠る準備を始める。
昨日も真っ暗で何も見えない天井を
見るともなく眺めていた。
しかし、しばらくしても
見える景色は変わってこない。
視線の先にあるはずの天井は、
のっぺりとした黒で占められている。
今日はなんだか変だなぁと視界をわずかにずらすと、
家具の輪郭が見えた。
あれ?向こうは見えるのに、と視線を天井に戻すと、
黒い闇の隙間から天井が見えている。
あぁ、顔に黒い何かが覆いかぶさっている…
と気が付いた途端に意識がなくなった。
もちろん、朝起きても何もなかった。
今日、帰りにアイマスクを買ってこようと思う。
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