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第七話

 



 とある村の村長宅に、不気味な赤子が産まれた。

 その赤子は産声を上げることなく咳き込み、最初の呼吸を始め、まだ見えぬはずのまなこを動かし、静かに周囲を観察していたという。


 父親は齢50を超える村長本人。母親は妻ではなく、村長宅で飼っている奴隷だった。













「こ、ここは?」


 誰もいない空間。光すらないその暗闇で()()は目覚めた。


「目、目が見えない?」


 一時的に記憶をなくした()()は、失明したのかと気が気ではない様子だった。


『そうじゃない。そもそも器官としての視覚がないのだよ』


「ど、どなたですか?」


 突如頭に直接聞こえた声に、驚きを隠しながら吃った声で()()は聞く。


『私は君からすると上位の存在。この世界を管理するシステムの一部だよ』

「は、はい?」


 意味の掴めない言葉。そして理解できない現状。()()は更に聞き返す。


『まぁ、私に説明義務は無いのだけどね。今は暇だから教えてあげよう』

「ぼ、僕はなぜここに…」


 上位者を名乗る声は、()()の言葉を無視し、勝手に次を告げる。


『先ず私達上位者は、君の住む星を含んだこの世界の管理者だ。そして私達の上に、さらに私達を管理する上位者が存在する。そしてそれは更に上の…と、無限に上位の存在がいると私達は推測している。

 そんな私達の目的は、君たち人に限らず、魂を集めることなんだ』

「ど、どういう…」


 途中疑問を挟もうとするが、聞こえているのか、無視されているのか、その声は続く。


『その魂を私達の上位者に献上する事が、私達の至上の喜びになるね。

 でも、魂なら何でもいいってわけじゃ無いんだ。

 どんな形であれ、個を形成しきれていない魂は、献上品足り得ない。

 ま。君の事だね』

「ぼ、僕は、ど、どうなるんーー」

『そんな不出来な君には、輪廻転生の輪に加わってもらう。

 もちろん私達の世界で不出来になったのだから、次は別の世界……私達では無い、他の上位者が管理する世界へと転生してもらう。

 その世界で個を形成出来なければまた別の。そんな感じだね』


 ()()は理解できなかった。理解できなかったが、自身が不出来な魂であることには納得していた。


『さ。不要な君にはそろそろ行ってもらおうか』

「す、好きに…その世界では思った通りに暮らしても良いのですか?」

『ほら。まだそんな事を委ねている。だから不出来なんだよ。じゃあね』


 その声の後、()()は自身が()()になった事だけを理解した。

 依然辺りは暗いまま。しかし、聞いた事の無い言葉が、朧げながらも聞こえる。

 そしてここは呼吸の出来ない水の中。


 不出来な()()は、新たな世界で怪物として生まれた。











「おいっ!靴を磨いとけって言ったよな?!」


 村長の息子、20半ばの男が10に満たない灰色の髪をした少年を足蹴にし、そう恫喝した。


 少年は声を出さず、蹴られてなお頭を下げる。


「ちっ!奴隷の子を養っているんだぞ!靴くらいちゃんと磨けっ!」


 少年が生まれ落ちたこの世界は、身分制度で成り立っている。

 下から奴隷、平民、神官、富裕者(大店の商人)、王侯貴族となる。

 国により神官の位置付けは違うものの、奴隷が一番下なのはどの国も変わりない。


 そしてそんな奴隷の子である少年は、蹴られる事よりも優先しなくてはならない事があった。


 強くなることだ。


 この世界は身分制度。強者が全てを支配出来る。

 もちろん中途半端な力は、武力財力に限らず排除されてしまうが、排除されないだけの力を持てば、全てが手に入る。

 その全てを一言で表すのなら『自由』。


 地球とは完全に異なる世界であるここでは、魔力と呼ばれる力が存在している。

 その目に映らないエネルギーは、色々な作用を齎す。

 この少年の場合は、二つの作用を齎した。


 一つは身体の中の魔力に働きかける事で、身体能力を上げるというもの。

 未だ訓練中ではあるものの、その力は大人のそれを優に超えていた。


 もう一つは周囲の魔力を操作するというもの。

 それは外部の魔力に干渉し、魔法といわれる力を行使する魔法使いには、天敵とも言える代物。

 簡単に言えば、魔法を無効化するのだ。


 たった一つでも魔力を使えれば優秀と言われるこの世界で、少年は二つの使用方法を持つという稀有なモノとして、この世界に存在していた。

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