未完成
物事に対する反発は私にとっての活動エネルギーだと薄汚い格好をした年老いた男が落ち着いた様子で語り出した。中央に置かれたドラム缶の中から煙がこぼれ何かを燃やしているようだった。老人は語り終わると老人の回りを取り囲むこれもまた薄汚い格好をした人々から賛同の拍手がわいた。この演説を聞いた人々の間には団結力が生まれていた。僕はそうは思わないと遠くの方、隅の方で一人の少年が呟いた。小さな声で呟いた。演説をした老人と老人を取り囲む人々は鋭い視線を送った。ただ演説をした老人だけは何も変わらない表情を浮かべていた。少年は地面に腰を下ろしたままややうつむきいたまま語り出した。僕には好きなものがあります。ただそれだけです。