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【書籍化&コミカライズ】禁忌解呪の最強装備使い~呪いしか解けない無能と追放されたが、即死アイテムをノーリスクで使い放題~   作者: 青空あかな
第4章:【北方のギルド】編

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第47話:更なる力(Side:ナメリック①)

「おい! 話が違うじゃねえかよ! お前のせいで俺様は恥をかいたんだぞ!」」


俺様は鏡に向かって怒鳴り散らしていた。

ここはギルドで一番大きな部屋だ。

俺様専用の部屋で連日女が入り浸っていたが、今は誰もいない。


『まぁ、そう焦るな』


鏡の中には魔族が映っている。

ある日突然現れたのだ。

それもそこら辺のザコではない。

超大物の魔族だった。

本来ならば、俺様たち冒険者が力を合わせて倒すべき相手だ。

しかし、俺様はライブリーにさえこの状況を伝えていない。

とある取引をしているからだ。


『クックックッ、ずいぶんと無様な負け方をしたではないか』

「うるせえ! お前の渡したアイテムがお粗末だったからだろ! 簡単に折れるような武器を渡してんじゃねえ! 何が魔族アイテムだ! ふざけんな!」


<魔剣・アスモディアンソード>を床に叩きつけた。

今や特別そうなオーラも消え、ただのゴミだ。


『しかし、ずいぶんとレイク・アスカーブにはコケにされていたな。油断するなとあんなに注意していたろうに。心の底では舐めていたんだろ?』

「っ……るせえな! あれはたまたまだ! たまたまあいつの攻撃が上手く当たっちまったんだよ!」


別に魔族などと手を結んでも、何の問題もない。

無論、俺様の方が強いと確信しているからだ。

力を得たら、こんなヤツらとはおさらばだ。

仮に俺と戦闘になっても返り討ちにしてやる。

前に魔族と戦ったことがあるが、楽勝で倒せたからな。


『技術を結集して造った非常に貴重なアイテムだと言うのに、こんなにしおって……貴様は剣術が得意と聞いていたが、ウソだったようだな』

「ぐっ……!」


今は辺境にあるギルドのエースで甘んじているが、俺様はこんなところで終わる人間ではない。

俺様は世界に選ばれた人間なんだ。

富も名声も女も力も全て俺の物だ。


「そんなことより、俺様に魔族の力を与えるって言ったよなぁ!? さっさと力をよこせ!」


俺様はもっと強くなって、この世界を支配してやる。

手始めにクーデターでも起こすか。

王都に攻め込んで、国王の座を奪ってやる。

一瞬、あのザコ虫の顔が思い浮かんだ。

今やっていることは、人間側に反旗を翻す行為だ。

最近、魔族の動きが慌ただしくなっていると聞く。

だが、アイツの顔を思い出した途端、怒りがフツフツと出てきた。


――俺様をバカにしやがって!


『……では仕方ない。まだ渡すには早いかもしれないが、貴様に特別なアイテムを与えてやる』

「もったいぶらずに早くよこせよ」

『ほら、これだ』


鏡から小さなビンが出てきた。

ポーションを入れるような入れ物だ。

だが、明らかにアイテムとしての次元が違う。

これも<魔剣・アスモディアンソード>と同じ禍々しいオーラが出ていた。



<魔族のポーション>

ランク:S

能力:身体能力を15倍にする



「す、すげえ! 身体能力が15倍だって!? なんてアイテムだ!」

『これは私が長年をかけて作った、至高のアイテムだ。普通なら人間にくれてやることなどありえないが、お前は特別だ。これを飲んでレイク・アスカーブを倒せ』


単純に考えて、今より15倍も力が強くなるし動きも早くなるってことだ。


――つまり……俺は最強になれる。


「ハハッ……ハハハハハ!」


俺は笑いが止まらなかった。

こんなに高倍率の増強ポーションは、今まで見たことがない。

能力向上のアイテム自体Sランクの中でもかなり珍しい。

これだけで国一つは買えるだろうな。


『人間界では二つとないアイテムだ。もう一度言うが、お前は選ばれし人間なのだ』


選ばれし者と言われ、めちゃくちゃ気分が良くなった。

魔族に言われるなんて、やっぱり俺様はすごい人間なんだな。


『まぁ、代償として飲んだ者は魔族になるのだが……』

「ああ? なにブツブツ言ってんだよ」


こいつはよくわからないことを言っていたが、よく聞こえんので無視した。

さっそく、ポーションを飲む。


――これさえ飲めば俺は……。


「がっ……はっ! なんてまずさだ!」


しかし、ポーションはとんでもなくまずかった。

おまけに、卵が腐ったような悪臭がして鼻がもげそうだ。


『どうした、力を手に入れるんじゃないのか?』

「う、うるせえ! こんな物飲めるわけないだろうが! からかってんじゃねえぞ!」

『わかった。では、回収しよう』


<魔族のポーション>は、すううう……と消えていく……。


「ちょ、ちょっと待てよ! 誰も要らないとは言っていないだろうがよ!」


慌ててポーションを掴むと、元通りになった。

一安心してホッとする。


『ほら、文句を言わずに飲め』

「わかってるよ!」


呼吸を止めて一気に飲み干した。


「うぐっ……!」


その瞬間、体が燃えるように熱くなった。

内臓が茹でられているみたいだ。


「がっ……はっ……!」

『ハハハハハ! 全て飲まないと効果は得られないぞ』


思わず吐きそうになったが、無理矢理飲み込んだ。

一滴も残さないように、ビンの中まで舐めまわす。

これだけ飲めば十分だろう。


「ぐあああああっ!」


その直後、全身が体験したことのない痛みに襲われる。

まるで、体中の骨がグシャグシャになって、また新しい形を作っているかのようだ。


「て、てめえ! 何を飲ませやがった!」

『耐えろ。そのうち消えていく』


頭が割れるように痛み、喉が焼けるようにヒリつき、目がチカチカする。


――ちくしょう! どうなってやがる!


耐えていると、こいつの言う通り少しずつ痛みはひいていった。

その代わり、魔力がみなぎってくるのを感じる。

呼応するように、殺意まで芽生えてきた。

レイク・アスカーブの顔が思い浮かび、早く殺したい気持ちに支配される。


『ハハハ! すげえ! 体中に力が溢れてくるようだ! これでアイツをぶちのめして、世界を手に入れてやるぜ!』


――あれ? 俺様ってこんなに毛深かったっけ?


俺様の体がおかしくなっている気がした。

だが、すぐにどうでも良くなった。

色んなものを壊しまくりたい。

こんなに気持ちが高ぶっているのは久しぶりだ。


『良かったじゃないか。これでお前も俺たちの仲間だ!』


――今すぐ戦いたい。今すぐ人間どもをぶちのめしたい。今すぐギルドを破壊したい。


身体が言うことを聞かなくなり、俺様は部屋を飛び出した。

【新作を始めました!】


お読みいただき本当にありがとうございます。

本日より、ハイファンの領地経営物を始めました!

最悪の土地をストレスフリーでサクサク発展しながらスローライフします!


クソ土地に追放されたが【領地を聖域化】して極楽スローライフする~実家が超有能な刺客(後に仲間)を送ってくれるので領地が勝手に発展していく。そして、実家は瘴気まみれになってるが彼らは生きているだろうか~

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