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【書籍化&コミカライズ】禁忌解呪の最強装備使い~呪いしか解けない無能と追放されたが、即死アイテムをノーリスクで使い放題~   作者: 青空あかな
第2章:【史上最強の傭兵】編

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第17話:新居は呪われた即死アイテム

「おお……なんてカッコいい屋敷なんだ」


丘の上に、ポツンと立っていた館。

それは、俺の好みにどストライクも甚だしかった。


真っ黒の壁に、金色の窓枠。

庭には不気味な枯れ木が植わっていて、見る者に威圧感を与える。

そして門の両脇には、ガーゴイルの石像が飾られていた。

俺たちを見て、ニチャアァと笑っている。


こういうのを、完璧な調和って言うんだろうな。


「こ、ここにしよう……はぁはぁ」

〔まぁ、ダーリンの好きなところがいいわよ。あれ、なんかどす黒いオーラが出てない?〕


ミウに言われ、屋敷をよく見る。

たしかに、件のどす黒いオーラが出ていた。


「もしかして、これも呪われた即死アイテム……?」

〔だとすると、ラッキーかもね〕


そのとき、ちょうど馬車が通りかかった。

貴族が乗るような、とても豪華なヤツだ。


「あっ、レイクさんじゃないですか!」

「どうも、こんにちは」

〔こんにちは〕


宴のときに、ワインやらなんやらをくれたモカネチオさんだ。

たしかこの人、貴族だったよな。

かっぷくが良くて、優しい雰囲気だ。


「こんなところで、何をされてるんですかい? あっ、失礼しました、デートですね!」

〔そうなの! やっぱり、すぐわかっちゃうかしら?〕

「ええ! どこから見てもラブラブですから!」

〔そうよねぇ! 私とダーリンの仲は隠そうとしても、隠せないわ!〕

「私の若い頃を思い出しますよ! ははは!」


ミウとモカネチオさんは、めちゃくちゃ楽しそうだ。

置いてけぼり感が半端ないぞ。


「あの、今新しい家を探してるんですけど、この屋敷がカッコいいなと思いまして。誰か住んでるんですかね?」

〔ダーリンったら、気に入っちゃったみたいなのよ〕

「これは私の家ですよ」

「〔え゛!?〕」


モカネチオさんは、さらりと衝撃的なことを言ってきた。

見かけによらず……良いセンスをしているじゃないか。

しかし、俺の家にはできないということだ。


「モカネチオさんの館でしたか。知らなかったです」

「私の家というと、語弊がありますね。ある日、いきなり出現した館なんです。見ての通り、とてつもなく不気味なので、誰も近寄ってないんですよ。私の土地に出てしまったので、一応私のものとなっています」

「そんなことがあるんですか」

「何なら差し上げましょうか? むしろ、レイクさんが住んでくださるなら、これ以上ないほど嬉しいです」

「え、マジですか?」

「マジです」

「じゃ、じゃあいただけますか?」

「どうぞ。家の権利書とかは、後日送りますから。では、私はこれで失礼しますね」


モカネチオさんは、さっそうと帰っていく。

おいおいおい、こんなでかい屋敷をタダで貰っちまったぞ。

ほ、ほんとにいいのか?


〔やったわね。みんな、ダーリンに感謝しているのよ〕

「そ、そうか。若干申し訳ない気もするけど、ありがたく貰うとしよう」


俺たちは門の前に来た。


「近くで見ると、やっぱりどす黒いオーラがあるな」

〔これも呪われた即死アイテムだったのね〕


例の説明書きが浮かんでいる。

久しぶりの、呪われた即死アイテムだ。



【呪いの館】

ランク:SSS

能力:無限に広大なスペースを有する

呪い:敷地内に入った存在は、全身が圧縮されて死ぬ



「へぇ、【呪いの館】かぁ。これまたエグイ死に方だな」

〔無限に広いってすごいわね〕


というか、無限ってどんだけだ。

さすがは呪われた即死アイテム。

まぁ、俺はそこまで広くなくても良かったんだがな。

しかし、心配なことが一つあった。


「でも、ミウは大丈夫だろうが、誰も家に入れないのはどうなんだ? だって、呪いで死んじまうもんな」

〔防犯にちょうどいいじゃない。泥棒しようとしても、勝手に死ぬんだから〕

「それはそうなんだが。せっかくだから、セレンさんとかマギスドールさんを招待したいな」

〔そういうことなら大丈夫よ。ダーリンの《解呪》スキルも進化しているの。呪いの一部だけ無効化できるようになっているわ〕

「一部だけ? どういう意味だ?」

〔今は中に入った存在……ってなってるけど、ダーリンが許可した人は、呪いが効かないようにできるはずよ。念じながら、《解呪》してごらんなさいな〕

「わ、わかった」


心の中で念じる。

俺が許可した人は呪われないように!


「《解呪》!」


すると、文言が変わった。



呪い:中に入った存在(レイクが許可した存在以外全て)は、全身が圧縮されて死ぬ



「ほんとだ。俺が許可したヤツは、大丈夫だって書いてあるぞ」

〔これで、みんなが来ても平気よ。かと言って、勝手に呼ばないようにね〕

「は、はい」


さりげなく、ミウに釘を刺された。


「じゃあ、さっそく中に入ってみるか」

〔どんな感じなのかしら〕


なんだか、緊張してきたぞ。

俺たちは、ガチャッと扉を開ける。


「……ふわぁ!」


ちょっとだけ不安だったが、ムダな心配だったようだ。

思った通り、内装も俺好みだ。

エントランスホールはめっちゃ広くて、壁の両脇に鎧やらトゲトゲのこん棒やらが置いてある。

【怨念の鎧】には負けるが、最高にカッコいい。


「この時点で、俺たちがいた安宿より大きいぞ」


そして、怒涛の黒、黒、黒。

しかも、ただ真っ黒なわけじゃなく、濃淡がついている。

天井からは、どでかいシャンデリアがぶら下がっていた。

悪魔みたいな彫刻がされている。

グロくていい感じだ。

これを作ったヤツはセンスがいいな。

照明は微妙に暗いが、それがまた家の雰囲気にピッタリだった。


「たしかに広いけど、無限に広いって感じではないな」

〔どうしたんでしょうね〕


しかし、階段を登ってみると、その意味がわかった。

両脇に廊下が伸びているのだが、その先が見えないのだ。

こんなに広い空間は初めて見る。

ほんとうに、廊下と部屋が、永遠に続いているのだ。

外から見ると、普通の(まぁ、それでもでかいのだが)屋敷なのに。

不思議なこともあるもんだ。


「これ、部屋もちゃんとあるのかな?」

〔確認してみましょう〕


俺たちは、適当な部屋に入る。

当たり前だが、最低限の家具しか置いていなかった。

ちょうど、例の休憩室にあった感じだ。

試しに、呪われた即死アイテムを勢揃いさせてみる。


【悪霊の剣】

【怨念の鎧】

【悪魔のポーション】の入れ物

【地獄のポーション】の入れ物

【闇の魔導書】


「す、すげえ……なんて素晴らしい眺めなんだ……」


これ以上ないほどの景色だ。

これなら、快適に暮らせるぞ。


「あとは、あの店で買った家具を並べていけば完成だ」

〔家中、真っ黒になってしまうわね〕

「まぁ、いいじゃないか」


幸いなことに、ベッドは大きめだった。

たぶん、屋敷サイズなんだろうな。

ひとつしかないけど。

ちょっと待て、この流れは……。


「い、一緒の部屋で寝るのか?」

〔当り前じゃないの〕

「でも、やっぱりまだ別々の方が……」

〔今さら何言ってるのよ〕


ミウに押し切られて、同じ部屋で寝ることになった。


「……せっかく、ベッドが広いんだから、もう少し離れて寝ないか?」

〔ダーリンと離れるのはイヤよ〕


結局、ぎゅうぎゅうで俺たちは寝た。

なんか、新婚みたいになっているけど……気のせいだよな?

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