第三話 犬に笑われる。そして、復讐を決意する。
「ク、クソ・・・・。な、なんでだよ・・・・」
「アハハハハハ、ハハハハハハハハハハ!」
「わ、笑いすぎだぁ!こ、こんなことがあっていいのか・・・・」
「いいんだよ、こんなことがあって・・・・ブフ!」
「よくねーし笑うなよ!ちくしょーーーーーー!」
次の日、
朝起きたら初芽が俺に抱きついていた。生前はいつも一緒に寝ていたため別に問題はない。
ていうか、女の子に抱きしめられるのはなかなかいいな。なかなかいいな。
「あ、お兄ちゃんおはよう」
「ああ、おはよう。なんだかおさしぶりだな」
「うん、確か2年ぶりだよ」
「ねえ、抱き合ってないで早く起きろよ、変態ども」
「う、うるせー、変態じゃねーよ。ただ兄妹の久々の日常にひたってただけだ!」
「あっそ・・・・・・うちのことは覚えてなかったくせに」
「ん?なんか言ったか?」
「別になんでもない、さっさと起きろ」
「はいはい、じゃあとっとと準備して人里めざすぞ~」
~約2時間後~
(おい、あっち見ろよ、なんかオオカミみたいなやつがいるぞ)
(あ、ほんとだ。どうする?右は崖になってるし左はひらけてるし、いったん戻る?)
(いや、うしろはめっちゃ草とか生い茂ってるしな、ほらよくあるだろ、逃げようとしたら木の棒を踏んで気づかれてぶっ殺されるやつ)
(たしかに。じゃあいなくなるまで待つ?)
(そうだな。・・・・・あ)
(どうしたの?)
(ヤ、ヤバイ、体が一匹だけ白いボスみたいなやつと目が合った)
(は?・・・・ヤバイじゃん何かオオカミがゆっくりとこっちに来てるんだけど・・・・)
(お、おいロリッ子起きろ、オオカミが来てるから!)
「ん~なに~あおにい」
ちなみにこいつは足場の悪いところをずっと歩いてきたためか、おんぶとか言って子供のようにねだってきた。・・・・そういえばこいつはまだ子どもだったな。
(おい寝ぼけてないで早く起きろよ、オオカミが来てるんだよ!)
「もう、気持ちよく寝てたのに~、オオカミ~?・・・・あ、ほんとだ、なんでこうなってんの?」
「いや、なんかいたからどうするか話してたら目がなんか合っちゃってなんかゆっくり迫ってきちゃった」
「はぁ~、じゃあうちと初芽で倒してくるからあおじいはそこから見とけ」
「いやちょと待て、俺も活躍したい。っていうことで初芽、M24貸してくれ。一応狙撃はまあまあ得意だから3匹ぐらいはやれるぞ」
初芽はわかったよと言って俺にM24を渡してきた。
敵は15匹ぐらいだ。あの大量の蜘蛛に襲われた時も何の問題もなく全滅できたからな、ほんとにあの蜘蛛は雑魚だったしな。あんぐらいの数だったら楽勝だな。あの白いやつには注意が必要だが。
ロリッ子と初芽が飛び出していき、前にいた二匹に切りついてその後ろにいたやつにロリッ子が魔法を浴びせた。
・・・・いいなぁ、俺も魔法とか剣とか使ってあんなふうに無双したいぜ・・・・・!
まぁとにかく奥にいるやつをやるか。
俺はプロほどではないが、自慢の狙撃テクニックで瞬く間に2匹を倒した。
次の目標をと周りを見渡していると・・・・ボスと目が合った。そしてこちらに全力疾走で向かってくる。
・・・・え、向かってきてる?・・・・やべー!
俺は全力で逃げた。だが、魔族の体とは言えども所詮は人よりも少し運動神経がいい程度。オオカミから逃げてもすぐ追いつかれるだろう。案の定結構距離があいてたにもかかわらずもうすぐそこまで迫って得来ている。
ん~どうするか、ナイフがあるけど絶対負けるし・・・・くそ、こうなったらいちかばちか魔法を使ってみるか?でもあれだし・・・・
「あーもうどうにでもなれーー!」
バチ
やはりというかなんというか・・・・まぁとにかく死んだな。はぁ~、2回も死なないといけないとか・・・・くそ。
「ワフッ」
こいつ笑いやがった・・・・!
しかも気持ち悪いニヤけ顔でドヤ顔しやがった!ていうかこの犬畜生表情豊かだな!どうしたらこんな顔ができるんだよ!
チクショウ、犬になめられて死ぬなんて・・・・。
オオカミは飛び掛かってきた。だが、何かに気付いたのか、空中にもかかわらず器用に体をひねって、高速で飛んでくる水玉をかわした。
すげぇな。
「あおじい、大丈夫!?」
「あ、ああ。あの犬にさえ笑われて心に少し傷を負ったぐらいで大丈夫だよ。・・・・いや大丈夫じゃない、心に深い傷を負った、あいつをフルボッコにしてくれ!」
「お、おう犬にまで笑われたんだな・・・・ブフ」
おい、おまえまで笑うなよ、せめて気づかれないように笑ってくれ・・・・!
「あ、あいつ、逃げやがった!おい待てよこの犬野郎!敵前逃亡とかはずかしくないんですかー!」
「ワン、ワンワン、ワン!」
「あいつ、なんて言ってるの?なんか苦し紛れの言い訳してるとか!」
「いや、絶対違うだろ。あおじいのほうが圧倒的に負けてただろうが。どうせあのへっぽこ魔法しか使えないくせにとかいってるんじゃないの?」
「ワン!」
「ほら、そうだって言ってるよ」
「おまえ犬語とかわからないくせに適当なこといってんじゃねーよ!俺がなんでこんなこと言ってるか察しろよ!」
「そんなの知るかよ・・・・犬に笑われて負けた正真正銘の負け犬」
「うっせーよ!こういう時ぐらい慰めろよ!チクショウ、覚えとけよあの犬野郎、絶対ぶっ潰してやる」
「ぶっ潰せるぐらい強くなれるといいね~」
「そういえば、あいつの部下たちはどうしたんだ?部下を置いて逃げるとか、あの犬はひどい奴だな」
「初芽が相手をしてるよ。もう全滅してるころじゃない?」
「お兄ちゃーん、大丈夫ー?」
「ああ、大丈夫だ、もう全員倒したのか?」
「うん、倒した」
「はぁ~、いいなぁそんな無双できて」
「そうだなあおじい、全然活躍できなかったな」
「いやちょとまて、俺も何匹か倒したからな!少しは活躍できたから!」
「はいはいそうっすね~」
「自分から話を振っといて流すなよ!」
「いいからさっさと進むぞ。ということで疲れたからおんぶしろ」
「はぁ~わかったよ、ほらよ」
「溜息吐くと幸せが逃げるぞ」
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「なぁ、なんでさ、目の前に雪が広がってるの?しかも奥を見たらまた普通に森がひろがってんですけど。雪原が森を分断するように帯状に広がってるんですけど」
森と雪原の境にある木はちょうど真ん中あたりで雪がかかってるところとかかってないところで真っ二つに分かれていた。
「知らないよ。ていうか私に聞かないでよ、後でアリナに聞けばいいじゃん」
ちなみにロリッ子は絶賛お昼ね中である。
「まぁいいか。初芽、このロリッ子の上に毛布をかけてくれ」
「へえ~優しいじゃん。いつもけんかしてるくせに」
「まあな、風邪ひかれたら困るしな」
「ふう~~~ん」
「なんだよ、羨ましいのかよ」
「まあね」
「それにしても寒いな。このロリッ子、一人分しか持ってきてないし。まあいいんだけどさ、あともう少しでぬけれるから」
「それにしてもさ、魔物とか全然見かけないよね」
「それは寒いからじゃないの?雪原だから木の実とかないから草食動物とかいないしさ」
俺たちは何気ない会話しながら雪原を抜けた。
「なんか温度差がすごいな、暑く感じる」
「そうだね、早く寝る準備しようよ。もう夕だし、早くしないと夜までに間に合わないよ」
「そうだな。もうあんな夜を味わうのは嫌だしな」
俺はおぶっていたロリッ子をひいたシートに寝かせて準備を開始した。
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