第一話 理想の女神はいない。・・・そして異世界へ!
俺は姫宮葵。17歳童貞である。
自分で言うのもなんだが、世界でも千年に現れるかの頭脳を持っている。
だから俺は中学校から有名大学の理工学部へと飛び級で入った。決して自慢ではないが、俺は、すべての試験科目を15分以内に解き終わり全て満点を取った。・・・・もう一度言うがこれは決して自慢ではない。
俺は2年弱で大学で習うことをすべて習得した。
そして超大企業の研究所に就職が決まった矢先に、俺の意識は途絶えた
俺は死んだのだ。そして今、なんとも落ち着くような真っ白な空間が広がっている場所にいた。
これはあれだ、異世界転生もののあれだ。きっとスタイル抜群で美少女の女神がいるのだろう。
そう、思っていたのだが・・・・
「よっ、災難だったな」
そこには、きれいな銀色の髪を腰までたらし、鮮やかな青色の瞳でこちらを見ている、白を基調としたシンプルなワンピースを着た美少女が立っていた。
誰、このロリッ子。
見た感じ四、五年生ぐらいだろうか。
それにしてもこの子、どこかで見たような気がする。
「きみ親とはぐれたの?」
「そ、そうなのって、ちゃうわ!葵バカにしてんの?これでも女神だし!子供扱いしないで!神がせっかく慰めの言葉をあたえてやったのにぃ!」
この子、ノリがいいな。
ってか、今こいつ女神って言ってたな。
「いやいや、災難だったなって軽いノリで言われて誰が慰められるか。もっとこう、災難でしたねシクシクとかあるだろ」
「そんなやついるわけないじゃん。そもそも私女神じゃないし〜。自分で言っといてなんだけど。」
「はぁ~!?女神はいないの!?規格外の力と慈愛を持つあの女神が!?」
こいつ!自分で女神とか名乗ったくせに女神いないとか、ふざけんなよ。
「葵、馬鹿なの?そんな規格外のやつがいるわけないだろ。葵はめちゃくちゃ頭がよかったじゃん。ならそんなの存在しないこと、わかるでしょ」
「それはわかってるよ!でも普通こんな空間におくられたら期待するだろ!ていうかそもそもここはどこ!?」
「ぎぁぎぁうるさいな〜。ここはあんたがいた宇宙の外にある別の宇宙だよ。まぁあまりよくわからないけど。あと、ここは自慢のマイルーム」
なんかちょっと現実的なんだけど・・・・・。
「え、じゃあ死んだ人はあんたのマイルームにいつも来てんの?」
「は?そんないちいち来られたらものすごく迷惑だろうが。自分が葵を呼んだからきてんだよ。それにここ寝室だから寝てる間に来られたら迷惑だし襲われてあぶないわ」
「お前みたいなロリッ子を襲う奴なんていないだろ。ていうかなんで俺を呼んだんだよ」
「そうだった。話すの忘れてたわ。・・・自分と一緒にファンタジー世界に行こうじゃないか。」
「え、まじ!行けんの、ファンタジー世界に!?」
「お、おういけるぞ。」
「まじか!行く!行くよ!いや、いかせてください!」
「わ、分かったからすこしおちつけ!」
ま、まじか・・・・憧れのファンタジー世界にいけるのか!
勇者になって超絶美少女たちと旅して、魔王を倒してハーレム生活が始まって・・・・。はぁ~もう考えだしたらワクワクが止まらないぜ!
「じゃあさっそく行こう!早く行って魔王倒してハーレム生活をおくろう!」
「お、おいちょっと待てってば!それにまだ話は終わってないしハーレムつくるのは許さないから!」
「じゃあとっとと話せよ、早く行きたいんだからさ!」
「まあまあ、多分会ったら飛び上がって喜ぶやつに会わせるから」
「ん?会ったら喜ぶって、誰だよ」
「それは君の双子の・・・・あ、ちょうど来た」
指でさされたところを見てみると・・・・そこには我が双子の妹、姫宮初芽が部屋のドアを開けているところだった。
「アリナ~話って・・な・・・に・・・・・・・」
「は、はつめ・・・・・・?」
「お、お兄ちゃん・・・な、なんでここに・・・・っ!」
初芽はなんで俺がここにいるのかを察したようだ。そして彼女は今にも泣きそうな、それでいて嬉しそうな表情をしていた。
そして俺は喜びのあまり、一目散に初芽のところまで走って行って抱きついた。
「初芽ーーーー!会いたかった、ほんとに会いたかったよーーーー!」
初芽は俺が死ぬ2年前に交通事故で亡くなった。ちょっとだけシスコンである俺はものすごく号泣した。当時は中学生だったため、1か月も学校を休んでしまうぐらいには相当なショックをうけた。
だからこうしてまた会えたことはものすごくうれしかった。
「うわぁ!ちょ、ちょっと!ふくがぬれちゃう!」
初芽はそう言いながらも満更でもなさそうな表情をしていた。
まぁそれはそうだろうな。初芽は誰がどう見ても異常なほどのブラコンなのだ。
俺が死ぬちょっと前に初芽の小・中の卒業文集を呼んだのだが、どちらにも最後にはお兄ちゃんと絶対結婚しますと書かれてあった。初芽は学校のアイドルになるぐらいの美少女なのでその文集はほとんどの人、特に男子に読まれていたため学年にかかわらず人とすれ違うたびに軽くからかわれたり恨ましそうな目を向けられていた。
「ねぇお兄ちゃん、なんで死んじゃったの?」
「あ、そうだ、なんで俺死んだの?爆発音が聞こえたのはおぼえてるんだけど・・・・」
「あ~言ってなかったけど、ガソリンスタンドの爆発に巻き込まれて死んだんだよ。しかも丁度真下から。」
「まじか・・・それは即死するわな。でも苦しまずに死ねたのは不幸中の幸いだったのかな~」
「そうね。私なんてものすごくいったかったしね~」
「あ・・・・ごめん。」
「あ!別に気にしなくていいよ!」
「そ、そうか。それならよかったよ」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「で、でさおじさん、一緒にファンタジー世界にいかない?」
「あ、ああそうだったな。そういう話をしてたんだった。ていうか、何度も言ってるけど、おじさんじゃないから!ん~まぁそうだな、異世界転生とか憧れるから行きたいけど、初芽とようやく会えたし、ずっと一緒にいたいから悪いけど断らせてもらうよ。」
「いや、別にそこらへんは心配ないぞ。な、初芽」
「うん。前からそういう話はしてたし、私も行きたいから。それにお兄ちゃんと一緒ならどこにでも行けるよ」
「お、おうそうかそれなら行こうかな!」
「よし、それじゃあ決まりだな!ていうことで早速準備しよう!なんかもっていきたい武器とかある?」
「じゃあアサルトライフルに手榴弾にハンドガンにナイフに・・・・・・それぐらいかな。あ、アサルトライフルはスカーで」
「じゃあ私はM24SWSとハンドガンで」
「そ、そう。武器が明確でよかったよ。銃のことはわからないからここから選んでよ・・・・・」
「わかった」
「うん」
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「よし、選び終わったか~?」
「終わったよ~」
「わたしも~」
「そうか!やっと終わったか!」
「やっとかじゃねーよ。15分しかたってねーだろうが。」
「ちょ~楽しみにしてんだからうちにとって今のは1日たったもどうぜんだ!」
「大げさだなー!。とにかくはやくいくぞー。俺だって楽しみにしてんだからな、わくわくがとまらないぜ!」
「それじゃあ異世界へ、レッツゴー!」
「ゴーーー!」
「ゴーーー!」
そうして俺たちは、異世界へと旅立ったーーーーーーーーーーーーーーー