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翼の無い天使。それが私の姿。
飛べない翼。それが私の名前。
ガラスの羽根は脆いくせに重たくて、私を地面に縛りつける。
残酷にも、広すぎる空を見上げさせて。
私は祈る。
「誰か、私の背中を裂いて。
芽を出している、白い翼を引きずりだして……
そして一度でいい。この空に還らせて。 最期は翼が折れて、また大地に縛られても構わない。
だからお願い。もう一度だけ……」
翼の無い天使。それが私の姿。
飛べない翼。それが私の名前。
飛べるのなら要らないと、両足を捨てた。
飛ぶためなら要らないと、両腕を捨てた。
歪な姿。飛べない翼……。
それでも私は、天使なのだ。
私を取り巻く世界、全てを否定してでも、
私はその事実を守り続ける……。