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『まて』をやめました 2


その後集まった人たちは、私の家族と家に仕える人たちだった。


家族からの情報で私は、クラウディア・ザリエル、15歳と判明した。

飛び込んできた美少年は、一つ下の弟だそうだ。

家族はお父さん、お母さん、弟とで4人家族。

飛んできた家族はお母さんだけだった。お父さんはお仕事。


そのお父さんの仕事が聞いてビックリ!

外交官なのだが、貴族で伯爵だって!

しかも伯爵の中でも上位になるんだってさ!

すごくない!?

メイドさんとかいて、庭師にコックさん、執事もいるってすごっ!

私、お嬢様だよ!?

ならなんで部屋が狭いのかと思ったら、3つ続きの自室のひとつでクラウディアが広い部屋だと落ち着いて眠れないからと言って無駄なものを排したシンプルでちょっと手狭な寝室ができたということらしい。

その証拠に扉の向こうをチラッと見せてもらったら、まあ広いお部屋で机も本棚もチェストもさらにはソファーセットまであって全部かわいらしい。それでもまだまだスペースがあって、悠々と50人ぐらいでラジオ体操ができそうな広さだ。

絨毯もカーテンも壁紙のシンプルでかわいい花柄模様が使われていた。

まあ、かわいいの嫌いじゃないからいいけど、ソファーの上の等身大ぬいぐるみはどうかと思った。聞けば、シンプルな部屋でいいと模様替えの度に希望が少なく、ジェイクがならばと口を出し手を出し、実際に物を置いた。その尽力による女の子らしくシンプルでかわいらしい高級感あるお部屋ができたそうな。


美少年の弟はジェイクという。そして、さっきから美少年美少年と言っているが、私と瓜二つだと言われた。

見せられた鏡に映るのは、これまたかわいらしいふわふわした砂糖菓子が似合う美少女だった。

ミルクティ色でふわふわな髪、ふっくらとした柔らかそうな頬、くりくりと大きな紫の瞳。かわいらしいお人形さんがいた。ぬいぐるみをギュッと抱き締めた姿を想像するだけで悶えるくらいだ。

これなら、かわいらしいものを傍に置いておいても仕方がないのかな?


「クラウディア、本当になにも覚えていないの?」


儚げな美しさのお母さん、改めお母様は心配そうにしている。

このお母様、なんと他国の王女様だったんだと!

外交官で各国を渡り歩いていたお父さん改めお父様と恋に落ちて結婚となったらしい。

結婚までいろいろあったらしいが、今でもラブラブ夫婦だって。


「うん、そう。ごめんね。」


素直にそう口にすると、お母様は勿論、ジェイクも周りにいたメイドさんも驚きの表情をしている。

お母様は口に手を当てて、ワナワナと震えてるし、どした?そんなにショックだった?


「ディア・・・、そんな、そんな・・・」


そりゃショックよね。

娘の記憶がなくなるなんて、家族の顔を忘れるなんてね。

なんて声を掛けていいのか思案していると、


「言葉使いが雑になってるなんて・・・」


手で覆った口から震えながら出た言葉がこれだったよ。

ワオ~!ショックなのはそこなのかっ!


そんな愉快な家族との語らいで、夜には帰宅したお父様からも色々聞き出した。


クラウディアは、2週間前に行われたお茶会から帰宅後体調を崩し横になってそのまま目覚めることなく昏睡していたらしい。

恐らくは参加したお茶会で何らかの混入物を口にしたみたいだ。医師の見立てでは弱い毒を複数混ぜた物を服用した可能性があると示唆された。一つ一つは弱い効き目とはいえ、複数交ざり合うことで相乗効果を生み昏睡状態になったのだろうと言われた。

どれがどう作用したのか不明なため治療は困難。へたすれば一生目覚めない昏睡状態による衰弱死を視野に入れないといけない、とかなり危ない状態だった。

今回、目が覚めたのは僥倖で、記憶がなくなるくらいで日常生活に支障がないことから奇跡だとあのあと診察された医師に言われた。


「目覚めたのだから、それが一番だ。だが、問題のお茶会を主催した家の方に抗議したんだけど知らないの一点張りで、帰ってから倒れたのだからこちらの責はないと言われてね。まったく誰に向かってそんなことをいってるのか。・・・・・・ディアが目覚めなければ、生きていることを後悔させたくらいだよ。」


と、お父様の弁。


「いいのよ。記憶がなくてもディアはディアですもの。私たちとの新しい思い出を作っていけばいいわ。うふふっ、・・・・・・今の方が昔のディアみたいでいいわ。」


と、お母様の弁。


「忘れたものは仕方がない。大切なのは今、姉様が生きているってことだよ。昔みたいに元気に過ごしていけばいいよ。・・・・・・せっかく忘れたんだから、あいつらのことは僕らでどうにかしよう、うん、そうしよう。」


と、ジェイクの弁。


みんな、とってもイイ笑顔だけどなんだか青筋がたってる。あと、後半がみんなごにょごにょいってよく聞き取れなかったけど、尋ねたらニコニコ笑顔で気にするなって言われた。


・・・まあ、いいっか。



もう、色々聞いたけどなんだか家族みんなおおらかな人たちで、元気ならいいやって最終的に落ち着いて、新たなクラウディアで新しい記憶を作りましょうって前向きになりました。


チャンチャンっ?



って、本当にそれでいいのか?


疑問はのこるけど、寧ろ今の私にみんな笑顔だからいいやって思っちゃった。


私も大概、おおらかだわ。遺伝かしら?


でも、愉しそうな家族でよかった。

って、笑って言ったらみんな揃って、わぁって驚き喜んだ。

お父様たちは涙ぐむし、使用人さんたちは頬を染めてる人までいるし、


どした?


きょとんととしてたら、みんな口々に、気にしないで、貴女はそのままでいてと言われた。


本当に、どうしたのかな?


読んでくださりありがとうございます

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