『まて』をやめました 1
いやなことが続いたので、気分を変えたくて書きました。
私って記憶喪失系が書きやすいようです。
よろしくお願いします。
目が覚めるとそこは知らないとこでした。
って記憶がなくなるとそうなるのか・・・
記憶がないと言うのは語弊があるかもしれない。
でも、覚えていないものは覚えていない。
ただ、ぼんやりとした記憶はあるけどなんとな~く遠い昔の記憶の様なそんな曖昧な感じ。まるで昨晩の夢を思いだそうとするかのように朧気で隙間から砂のようにサラサラと崩れてしまうような感じ。
だけど記憶の中で私は日本人ということだけ覚えていた。日本の常識についてはおぼえている。
それだけ。
なんて名前なのか、年齢も職業もおぼえてないもの。
で、ここはどこよ?
一人かわいらしい寝台の上でぼんやりとまわりを眺めて思ってしまった。
今は昼間の様で明るい日差しが窓辺に注がれていて薄く開けた窓から暖かな風が入り花模様のレースのカーテンを揺らしている。
日差しがベッドまで届かないようにするためか、窓との間に薄い布張りの蛇腹状の衝立がされている。
大きな掃き出し窓が一つで大きなベッドの傍には猫足の白いサイドテーブル。壁紙はアイボリーに薄いピンクの模様がはいった女の子らしいかわいらしいもの。このベッドも小さな小花模様のカバーがかけられてかわいい。ものが少ないけど、どれもいいものみたい。
全体的にシンプルだけどかわいらしい部屋。
そして窓の対角線上に扉があるのが見える。
うん、視界からとれる情報はもうない。
って、手詰まりじゃん!はあ、行動あるのみかな?
いまこの状況がわからないので、その扉を開けて情報を増やしたいなぁと思って寝台から足を下ろそうとした。
べしゃッ!
「うわっ、ぶへっ!」
ゆっくりと滑らすように足を下ろし床につけたのだが、それに力が入らず膝から砕けるように床に前のめりに倒れた。
もう、べしゃって言ったよ、ベシャッて!
顔から絨毯にダイブですよ!鼻を打ったよ!!痛いよ!!!
幸いなのが絨毯はふかふかでしたよ。
「いたたっっっ・・・」
辛うじて顔を持ち上げるけど、じわじわと体全体が痺れて膝から下は痛い。
「あっ、姉様!?」
痺れた痛みに絨毯の上で悶絶していたら、扉から男の子が飛び込んできて声をあげた。
「へっ?」
情けなくも絨毯にぺしゃんと倒れこんでいるこちらに寄ってくる男の子?というより美少年。
年は、14、5かな?淡いクリーム色のふわふわの髪で、あっ、綿菓子みたい・・・おいしそう。
紫の瞳も薄い色で大きくて・・・甘そうだなぁ。
そして、この人私のことなんて言った?
「姉様、目が覚めたって言うか、起き上がったの?えっ?いきなり?
2週間も昏睡だった状態から?」
What?なんと言った?
視界情報は限度があったけど登場した美少年によってもたらされた情報の一端に現在の絨毯と仲良し状態の理由がありそう。
まず第一に彼は日本人じゃないよね。
取り敢えずあたふたと駆け寄って、起こしてくれるこの美少年から聞きたいことはたくさんあるんだけど、まずはこれを聞かないといけないよね?
記憶喪失といったらこれだよね?
「あのさぁ、えっと・・・ここはどこ?私はだぁれ?ですか?」
私の記憶喪失の定型文をきいた美少年は一瞬固まった後、私を冷静にベッドに戻し、扉に向かって悲鳴混じりの絶叫をあげて家の人たちを集合させた。
読んで下さりありがとうございました。