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ある変人陰陽師曰く、  作者: 花咲泉
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序章

いづれの御時にか、

鬼、あやかし、物の怪と呼ばれるモノどもあり。

またそれを退治する陰陽師(おんみょうじ)あり。


その中のある陰陽師(おんみょうじ)曰く、


「もののけぇ〜?そんなものいねぇよ。」


ここにはその者の話を紡ぎゆくとせむ。


■□■


「あ〜、だっる。」


とても姫君とは思えない声をあげながら(しとね)から起き上がる。

貴族の朝は早い。

この生活を初めて三年程経つが、辛いものは辛い。


(きょう)様、言葉遣い!」


(よわい)十六の侍女、梅に小突かれる。


「響様、お行事が悪いですよ。」


三十路の侍女、白菊に小言を頂く。


まだ寅の刻(午前3時頃)である。

いくらなんでも早すぎではないだろうか。


しかし、自分への待遇を考えると怠けようとは思わない。


お勤めの準備を始める。


侍女たちに手伝って貰いながら髪を高く結い上げ、顔を白く塗り、歯を黒く染めて紅を引く。立ち烏帽子(たちえぼし)をかぶり、十二単(じゅうにひとえ)ではなく、束帯(そくたい)に身を包む。そうして一人の青年が完成する。


「「いってらっしゃいませ。」」


二人の声と同時に牛車(ぎっしゃ)が動き出す。


今日はどんな面白い話を聞けるだろうか。


響は少し楽しみにしながら宮廷に向かうのであった。

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