断固たる意志
興味本位で生きるとこういうこともある。
キモイ木は説明した。
曰く、ここは狭間の森であり世界と世界をつなぐ中継地点であると。
曰く、キモイ木の名前は「キモ・イ」
…キモと呼ぶか。
キモは言う。このまま先へ進むと別の世界に出る。
そこは、いわゆる剣と魔法の世界。
さらに言う。『お前、馬鹿だから帰れないよ。』
「ちょっとそれは困る!」
『まあ、俺はどーでもいいんだけどさ』
「キモさん!様!教えてください。どーしたら帰れるのでしょうか?」
おれは必死だった。標識を一歩越えたとこなら戻れたんだ。
道さえわかれば戻れるはず、、
『ここまで来ちゃってるからね。もと来た道を戻っても次元の口は閉まっちゃってるよ。逆に進行方向の口は開いたよ。そっち行くしかないようになってんの。』
「そっち行ってどうすんだよ。」
『知らんよ。』
「…。剣と魔法?って言ってもね。俺も使えるの?」
『なんで?』
「いや、なんかこう異世界人チート的な」
『なんで?』
「異世界行くときはチートは持ってくでしょうが!」
『いや、スズキ勝手にきたしな。もらえるわけないよ。』
「勝手じゃないよ。あんな標識あったら進むよ。誘導されたんだ」
『でも自分で選んできたんでしょ?そんなら自分で責任取らないと』
「え?いやそれはちょっと。サラリーマンなんで。キーボードパチパチで金をもらってるので。剣とか魔法とか知らないの。このまま行くとすぐ死ぬの。わかるでしょ?」
『だから死んだ方が「死ぬって言うな!」』
「すぐ言うやん死ぬって!あかんで!」
『ウザ。速く行ってくれ』
「いやマジで何かもらうまで行かない。」
『うわー、痛いな。コイツ』
おれは胡坐をかいて断固たる意志を示した。