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おにぎり日和   作者: ひろゆき
9/41

 一食目  ーー  どういうことだよ、これは?  ーー (8)

 画像を眺めていると、何がメインなのか、と疑ってしまうほど、新鮮に見えてしまう。

            8



 自問しつつ、またスクロールをしてみた。

 色鮮やかなおかずを眺めていると、そこでまた手が止まってしまう。

 投稿される画像に、あることにふと気づいた。

 それは、意外にも“おにぎり”の画像が多く目立っていることである。

 華やかに写るおかずの横で、ひっそりとたたずんではいるが、おかずにも一切引けを取らない、その存在は煌びやかに見える。

 なかには、こちらがメインではないか、と疑うほどに見映えするおにぎりもあった。

「……おにぎり…… か」

 一度寝返りを打ち、体を丸めた。

 なんだろう。胸の奥が何か痛んでいる。苦しいから痛んでいるんじゃない。それとはまた違う痛み。

 いや、痛みとも違うようで、それでいてなぜか懐かしい……。

 胸をざわつかせるのが何かわからないまま、今度は検索項目を変えてみた。

「……ま、とりあえずね」

 おにぎり、と検索すると、これまでとは違うレシピが並ぶ。

 今度はおにぎりわやメインとした写真が。

「ーーマジか」

 またしてもつい驚嘆の声がもれてしまう。

 まったくそこは未知の世界であった。もちろん、小さいころ、母親が作ってくれた懐かしいおにぎりに似た物もあれば同じ具材であっても、少し手を加えて格段に見映えが上がっている物もある。

 なかには変わり種ともいえる物もあった。

「……こんな物まで具材にするのかよ……」

 思わず驚きが声になり、しかもそれなりに大きく出てしまった。



 もしかすれば、弁当のレシピよりも長くおにぎりのレシピを検索して眺めていたかもしれない。

 工程を見ながら、「へぇ~」「嘘だろ」と、感心してしまうことも少なくなかった。

 もうお腹一杯である。

 納得してスマホを枕元に置いたときには、充分なほどの夜食を食べ尽くしたみたいな錯覚を抱いてしまった。

 ベッドに寝そべったまま、お腹を擦ってしまう。頬を綻ばせて。

 そういえば、確かに小学校のころは何かとおかずを作っていたよな。

 ふと母親と姉が言っていた言葉が頭をよぎってしまう。

 あんた、料理するの好きでしょ、と。

「……ま、嫌いじゃないけどね」

 天井を眺め、瞬きを繰り返しながらこぼれてしまう。

「……どうしようか」

 おにぎり……。

 どうする?

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