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おにぎり日和   作者: ひろゆき


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36/41

  六食目  ーー  おにぎりを握ること  ーー (1)

 淡い期待を持ってはいけないものである。

 本当に。

            六食目



             1



 サンドイッチを作ってから、三日が経っていた。

 あの日、姉の一言に感じた予感は、これからも姉の分を作り続けなければいけない絶望であった。

 恋人に見せるなら気持ちも変わるか、という淡い希望はすぐさま断たれたのである。

 当然ながら、今日も僕と姉の二人分のおにぎりを作っていた。

 今日はちょっとお助けの具材を使うことにした。

 それは梅しそのふりかけである。

 それをご飯を入れたボールに入れる。紫色がご飯に広がると、鼻を突き通るいい香りが僕の頬を緩ませた。

 そこにシラスを入れる。

 今思うと、シラスも卵と並んで頻度が多いな、と混ぜ込んだご飯を眺めて嘲笑せずにはいられない。

 あとはいつものように手の平にラップを広げ、握っていく。

 ただ、今日はいつもみたく三角形にはせず、俵型の形に握った。いつもより小振りな代わりに、数を多く。

 そしてこれには焼き海苔ではなく、青じそを海苔代わりに撒こうと思った。青じその大きさを考え、小振りの俵型にしていた。

 これは以前、しそを刻んで混ぜていたときに、ふと思いついたのを、今日試してみた。

 もう一種類作ろうと思い、ボールにご飯を入れる。

 そこに入れるのは具材ではなく醤油。

 まずは小皿に醤油とみりんを少し入れて、混ぜてからご飯に加えて混ぜていく。

 白いお米の全体に色が染まっていくと、それをおにぎりとして握っていく。こちらは三角形で。

 茶色のおにぎりができると、そこで終わりではなく、それをトースターへ移動させる。

 今日はこいつを焼おにぎりにしようと考えた。

 トースターに火を入れ、焼き目を気にしつつ、様子を伺っていく。

 半分ほど火が通ったところで蓋を開き、ハケで醤油を塗っていく。

 蓋を締めて焦げ目がつくほどに火を通し、出来上がりと。

 トースターを開くと、醤油の焦げた香ばしい匂いは、シソとはまた違って鼻を刺激した。

 自然と頬が綻んでしまう。

 よし。これで完成である。

 変におにぎりにバリエーションが増えている気がしてしまう。

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