五食目 ーー まぁ、たまには、ね ーー (5)
困らせることに変わりはない。
プレッシャーである。
5
時間は朝へとさかのぼる。
お助けグッズを眺め、溜め息をこぼす。
ここでキャラ弁を作っても困るだろうけど、別の困らせ方をしてやろうか、と。
姉にプレッシャーを与えてやる。
今回、少し手の込んだ弁当を作り、それが普通だと勘違いさせ、いつかボロが出るように姉にプレッシャーを与えたい。
そこで考えたのがサンドイッチだった。多少手も込んだものなので、ちょうどいいだろう。
まぁ、直前までキャラ弁にするつもりで、キッチンまでグッズを持ってきていたのだけど。
まずは卵。本当に僕の場合、頻度が多いな、と笑いながらも水の入れた鍋へと入れ、茹でる。
茹で上がれば殻を剥がし、みじん切りにする。歯ごたえを残すために白身を大きく残しておき、それをボールにマヨネーズと一緒に投入する。
味つけに塩コショウも忘れずに。
一つ目はこれでよし、と。
次はレタスを捲り、水に浸したあと、水気を取っておき、トマト、キュウリを細切りにしておく。
あとはハムにスライスチーズもあればいいだろう。
まずはパンにカラシバターを塗ると、そこにレタスを敷き、卵をたっぷりと塗る。そしてカラシバターを塗ったパンで蓋をする。
……意外と簡単だな。
もう一つも同じように、カラシバターを塗ってレタスを敷く。今度はそこにトマト、キュウリ、ハムにチーズと重ねていき、パンで蓋をする。
そしてこれを馴染ませるために、ラップを被せてから上にまな板を乗せておく、と。
「……なんか、意外にも簡単だったな」
置かれたサンドイッチを眺めて腕を組んだ。
時計をふと眺めると、まだ時間には余裕がある。何せ、姉にバレないように、いつもより少し早く起きていたので。
「……焼いてみるか」
残っていたパンをふと思い立ち、トースターに入れた。焼くことで見た目にも変化をもたらそうと。
ただパンが薄いので、焼きすぎに注意をして。
焼き上がったパンにこれまで同様にカラシバターを塗り、今度はハムを敷いた上に卵をたっぷりと乗せ、パンで蓋をした。
「……よし。これでいいだろう」
あとはしばらく馴染ませたあと、半分に切って完成である。
これで文句はないだろう。ちゃんと、作ってやったのだから。
逆にプレッシャーを与えてやる。この中身を見たとき、どう説明するのか。
サンドイッチの切り口から色鮮やかな具材が華やいでいた。
それを満足げに眺めてしまう。気持ちとは裏腹に、口角がつり上がり、不敵に笑ってしまう。
サンドイッチ、サンドイッチである。




