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おにぎり日和   作者: ひろゆき


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16/41

 二食目  ーー  作る? 作るべきなのか?  ーー (7)

 無視(?)されたことに、変に自分に火がついてしまったじゃないか。

 

            7



 拍子抜け? それとも杞憂? 

 どちらにしても、どこか物足りなさを否めない。

 ん? いや、そう思うことが変なのか?

 結局、昼休みの間に藤田からおにぎりを話題にされることはなかった。

 それはそれで“寂しい”のか、と自嘲したくなっていると、悔しさはジワジワと湧いて胃の辺りを刺激してきた。

 何か藤田に反応をしてほしく、昼からの授業を受けている間も、頭の片隅でどうするか考えてしまった。

 まさに悔しさが頭から離れてくれず、衝動的に体が動いてしまう。

 放課後、家の近くのスーパーに足が自然と向かっていた。

 何かを買う予定ではなのだけど、ついおにぎりの具材を探してみようと、ふと思い立ったのである。

 実際のところ、ネタ切れであるのも否めない。

 仕方がないよな。おにぎりの具材を常備しているわけじゃないんだし。

 野菜売り場を探索し、嘲笑しながら目についたピーマンを手にした。

「さすがにこれは無理、だよな」

 小さくかぶりを振り、独り言をもらしながら、ピーマンを戻した。

 一般的な弁当を作るならば、野菜も必需品であろうが、僕にとってはそんな上級者ではない。必要じゃない。

 やはり、梅やカツオ、あとは明太子とかが具材として浮かび、そうした具材の売り場を回ってみた。

 まぁ、これらはすでに試したことがあるので、買うことを渋ってしまう。

 しかし、これまで買い物に来たとしても、自分からは決して向かう売り場ではない場所ばかりを回っていた。

 これまではお菓子やジュース、パン売り場といった、コンビニでも済むところばかり回っていたので、どれも新鮮に見えてしまい、不覚にも目を輝かせてしまう。

 スーパーがこんなにも楽しいなんて…… 待て、待て……。

 浮き足立つ気持ちを落ち着かせ、足を動かした。

 落ち着け、と気持ちを宥めながらも、つい思考が動いてしまう。考えてしまう。

 あとはワカメもいいし、シラスもいける。それだったら、何が合うんだろう、と。

 頭でバリエーションを増やそうとしても、、上手く組み上がってくれず、悩まされてしまう。

 ……今日は帰ろう。

 自分の未熟さもあるが、名案も浮かばず、背徳感に襲われてスーパーを出た。



 夜、また無意識のうちにレシピサイトを開いてしまっていた。

 もう昨日に見ているのに、同じものをまた開いてしまう。

 己の未熟さや空しさに襲われるのを覚悟しながらも。

「……そういえば福原も自分で作ってるって言っていたよな」

 下唇を噛み、視線が左右に動いてしまう。

「……ちょっと相談しーー」

 いや、いや、いや。

 すぐさまかぶりを振って否定する。

 自分で弁当を作っている、なんて恥ずかしくて言えるわけがない。

 考えてしまう。

 つい考えてしまうじゃないか。

 バリエーションはないか、と。

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