二食目 ーー 作る? 作るべきなのか? ーー (7)
無視(?)されたことに、変に自分に火がついてしまったじゃないか。
7
拍子抜け? それとも杞憂?
どちらにしても、どこか物足りなさを否めない。
ん? いや、そう思うことが変なのか?
結局、昼休みの間に藤田からおにぎりを話題にされることはなかった。
それはそれで“寂しい”のか、と自嘲したくなっていると、悔しさはジワジワと湧いて胃の辺りを刺激してきた。
何か藤田に反応をしてほしく、昼からの授業を受けている間も、頭の片隅でどうするか考えてしまった。
まさに悔しさが頭から離れてくれず、衝動的に体が動いてしまう。
放課後、家の近くのスーパーに足が自然と向かっていた。
何かを買う予定ではなのだけど、ついおにぎりの具材を探してみようと、ふと思い立ったのである。
実際のところ、ネタ切れであるのも否めない。
仕方がないよな。おにぎりの具材を常備しているわけじゃないんだし。
野菜売り場を探索し、嘲笑しながら目についたピーマンを手にした。
「さすがにこれは無理、だよな」
小さくかぶりを振り、独り言をもらしながら、ピーマンを戻した。
一般的な弁当を作るならば、野菜も必需品であろうが、僕にとってはそんな上級者ではない。必要じゃない。
やはり、梅やカツオ、あとは明太子とかが具材として浮かび、そうした具材の売り場を回ってみた。
まぁ、これらはすでに試したことがあるので、買うことを渋ってしまう。
しかし、これまで買い物に来たとしても、自分からは決して向かう売り場ではない場所ばかりを回っていた。
これまではお菓子やジュース、パン売り場といった、コンビニでも済むところばかり回っていたので、どれも新鮮に見えてしまい、不覚にも目を輝かせてしまう。
スーパーがこんなにも楽しいなんて…… 待て、待て……。
浮き足立つ気持ちを落ち着かせ、足を動かした。
落ち着け、と気持ちを宥めながらも、つい思考が動いてしまう。考えてしまう。
あとはワカメもいいし、シラスもいける。それだったら、何が合うんだろう、と。
頭でバリエーションを増やそうとしても、、上手く組み上がってくれず、悩まされてしまう。
……今日は帰ろう。
自分の未熟さもあるが、名案も浮かばず、背徳感に襲われてスーパーを出た。
夜、また無意識のうちにレシピサイトを開いてしまっていた。
もう昨日に見ているのに、同じものをまた開いてしまう。
己の未熟さや空しさに襲われるのを覚悟しながらも。
「……そういえば福原も自分で作ってるって言っていたよな」
下唇を噛み、視線が左右に動いてしまう。
「……ちょっと相談しーー」
いや、いや、いや。
すぐさまかぶりを振って否定する。
自分で弁当を作っている、なんて恥ずかしくて言えるわけがない。
考えてしまう。
つい考えてしまうじゃないか。
バリエーションはないか、と。




