二食目 ーー 作る? 作るべきなのか? ーー (6)
今日はどんな反応をされても、反論するだけの自信はあるぞ。大丈夫。
6
正直、前回のことを考えれば、見た目には自信がある。
だからか、昼休みに自信を持って机上に弁当箱を出すことができた。
目の前には藤田。さっきからくだらない冗談ばかりを言っている。
本来ならば、藤田に先に驚かせたかったのに、不覚にも僕が先に口を開いてしまった。
「お前、今日もワッフル?」
それは藤田が出した弁当箱の横に、コンビニスイーツのワッフルがあった。昨日も食べていたスイーツと同じである。
普段、藤田は二日続けて同じものを持ってくることはなく、珍しかったのである。
「あ、いやさ、昨日食べてかなり美味しかったから、つい買ってしまったんだよ。ほんとは違うのを買うつもりだったんだぞ」
「別に怒ってないって。珍しいなって思ってさ」
ワッフルを手にし、満面の笑みで言う藤田だが、すぐに手を振って弁解するので、鼻で笑って返した。
「あるだろ、ついつい同じものを続けて買うことってさ」
「ーーまぁね」
否定はしないさ。僕だって、一昨日のスナック菓子をもう一度買うか迷っているのだから。
まぁ、それは大半を姉に奪われて満足仕切れなかったこともあるのだが……。
嫌なことを思い出してしまい、つい顔が歪んでしまう。弁当の蓋を持つ手にも無駄な力が入った。
まったく、と声がもれそうになりながらも、おにぎりの姿を捉えて頬が綻んだ。
家と学校で見るのでは、やはりまだ「寂しい」のかな、と感じてしまう。あと、隙間が少しあったので、そこには魚肉ソーセージを切って詰めておいた。
買っておいてくれた母親に感謝である。
「ってか、お前もまたおにぎりかよ」
おかずに対しても考えていると、藤田に言われてドキッとしてしまう。
また茶化されると少し覚悟しつつも、「まぁね」と平静を装う。
まぁ、昨日よりかは大丈夫だろうと、高を括り、マジマジと眺める藤田を見守ってしまう。
一通り見たあと、藤田は顔を上げた。メガネの奥の眼差しが気になる。
「実はさ、俺、今度バイトしようと思っててさ」
「ーーバイト?」
「そう。今、欲しいスニーカーがあってさ。それも何個かーー」
藤田はおかずを口に運びながら続ける。
僕は箸を口にくわえたまま止まってしまう。決して藤田の話に真剣に耳を傾けているのではない。
いや、もちろん話は聞こえている。けど、途方に暮れて硬直してしまっているだけ。
それだけ?
と問いたくて。
今回はそれなりに時間をかけていたつもりでいた。それは昨日、藤田に茶化されたのも原因の一つである。
だからこそ、ちょっとは反応をしてほしかったのである。百歩譲って、茶化されてもかまわない。少しは反応してほしかった。正直なところ。
それこそ、今朝の労力が無駄であったと悔しくなるではないか。
だが、僕の悔しさは藤田には伝わっていない。
僕がじっとしているのが話を聞き入っていると、勘違いし、より藤田は饒舌になっていた。
「だからバイトを始めようかなって思ってさ。なんか、いいところないか? 時給のいいところとかさ」
「ーー知るか」
心からの気持ちを献上してやった。
それだけなのか?
何かを言ってくれても、今日はいいのに。




