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おにぎり日和   作者: ひろゆき


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15/41

 二食目  ーー  作る? 作るべきなのか?  ーー (6)

 今日はどんな反応をされても、反論するだけの自信はあるぞ。大丈夫。

            6



 正直、前回のことを考えれば、見た目には自信がある。

 だからか、昼休みに自信を持って机上に弁当箱を出すことができた。

 目の前には藤田。さっきからくだらない冗談ばかりを言っている。

 本来ならば、藤田に先に驚かせたかったのに、不覚にも僕が先に口を開いてしまった。

「お前、今日もワッフル?」

 それは藤田が出した弁当箱の横に、コンビニスイーツのワッフルがあった。昨日も食べていたスイーツと同じである。

 普段、藤田は二日続けて同じものを持ってくることはなく、珍しかったのである。

「あ、いやさ、昨日食べてかなり美味しかったから、つい買ってしまったんだよ。ほんとは違うのを買うつもりだったんだぞ」

「別に怒ってないって。珍しいなって思ってさ」

 ワッフルを手にし、満面の笑みで言う藤田だが、すぐに手を振って弁解するので、鼻で笑って返した。

「あるだろ、ついつい同じものを続けて買うことってさ」

「ーーまぁね」

 否定はしないさ。僕だって、一昨日のスナック菓子をもう一度買うか迷っているのだから。

 まぁ、それは大半を姉に奪われて満足仕切れなかったこともあるのだが……。

 嫌なことを思い出してしまい、つい顔が歪んでしまう。弁当の蓋を持つ手にも無駄な力が入った。

 まったく、と声がもれそうになりながらも、おにぎりの姿を捉えて頬が綻んだ。

 家と学校で見るのでは、やはりまだ「寂しい」のかな、と感じてしまう。あと、隙間が少しあったので、そこには魚肉ソーセージを切って詰めておいた。

 買っておいてくれた母親に感謝である。

「ってか、お前もまたおにぎりかよ」

 おかずに対しても考えていると、藤田に言われてドキッとしてしまう。

 また茶化されると少し覚悟しつつも、「まぁね」と平静を装う。

 まぁ、昨日よりかは大丈夫だろうと、高を括り、マジマジと眺める藤田を見守ってしまう。

 一通り見たあと、藤田は顔を上げた。メガネの奥の眼差しが気になる。

「実はさ、俺、今度バイトしようと思っててさ」

「ーーバイト?」

「そう。今、欲しいスニーカーがあってさ。それも何個かーー」

 藤田はおかずを口に運びながら続ける。

 僕は箸を口にくわえたまま止まってしまう。決して藤田の話に真剣に耳を傾けているのではない。

 いや、もちろん話は聞こえている。けど、途方に暮れて硬直してしまっているだけ。

 それだけ?

 と問いたくて。

 今回はそれなりに時間をかけていたつもりでいた。それは昨日、藤田に茶化されたのも原因の一つである。

 だからこそ、ちょっとは反応をしてほしかったのである。百歩譲って、茶化されてもかまわない。少しは反応してほしかった。正直なところ。

 それこそ、今朝の労力が無駄であったと悔しくなるではないか。

 だが、僕の悔しさは藤田には伝わっていない。

 僕がじっとしているのが話を聞き入っていると、勘違いし、より藤田は饒舌になっていた。

「だからバイトを始めようかなって思ってさ。なんか、いいところないか? 時給のいいところとかさ」

「ーー知るか」

 心からの気持ちを献上してやった。

 それだけなのか?

 何かを言ってくれても、今日はいいのに。

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