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乱戦と敗北

 アイシュ・アイアは両腕を厭らしく広げた。

 白く弛んだ皮膚にいくつものイボが浮き出し、そしてそれらが弾けると小さな蟹のような姿の昆虫となって次々と私達の上に落ちてきた。


「嫌だ!これは気持ちが悪すぎる!」


 私はベイルと自分の周りに炎の障壁を作り出し、アイシュ・アイアに対しては茨の魔法を飛ばした。

 虫たちは私の想定通りに炎によって燃えたが、彼等は燃える時には鱗粉のような粉をまき散らしながら次々と爆発した。


――毒毛虫は毒針を飛ばすから危険だよ。


 ガベイの言葉が頭に浮かび、私は水の膜を咄嗟に作り出した。

 虫たちの毒針からベイルと自分を守ったが、意識が削がれた事で茨の魔法はアイシュ・アイアを完全に捉えることはできずに、彼女は両腕を羽に変形させると私達目掛けて落ちてきた。


 ベイルは私を突き飛ばして飛び上がり、木の幹を蹴るとアイシュ・アイアの背中に向かって切り込んだ。


 落ちてきたアイシュ・アイアの正面顔は体に引き込まれて代わりに髪の毛がにょきっと生えた。


 恐らく後ろと正面を入れ替えたのだ。


 私は緑の魔法陣を回してアイシュ・アイアを目掛けて大量の槍のような茨を彼女に向かって突き出した。

 しかし彼女は針山のような槍に貫かれながらもまるでゼリーのようにぬるっと下に落ちただけで、私はベイルこそ私が作り出した槍に貫かれると魔法を閉じた。


 一瞬の間。


 ベイルは宙で体を捩じってアイシュ・アイアの上にかろうじて落ちなかったが、私は木の幹に押し付けられて腹に鈍痛を受けている。

 アイシュが手に持つ短剣は私の腹から背中まで突き刺して、私を木に貼り付けているのである。


「ひひひ。エレメンタイン。百億バイツの賞金首。頂きだ。」


「リジー!」

「ティア!」


 私はベイルとディーナの叫びを受けながら、目の前の醜悪な魔女の短剣を持つ手を両手で掴んだ。


「頂いたのは私の方だわ。」

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