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君に三食昼寝付きを差し上げます!  作者: 蔵前
われは大魔女エレメンタイン
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八時間労働って馬鹿みたい

いつもありがとうございます!

令和2年の5/30の今日、ようやく空白注入などの改定が終わりました。

作業をしながら、こんなに読みにくいものを最後まで読んで下さり評価まで下さったのだと、

本当に皆様には感謝しかありません。


 人は生活をするために働いて賃金を得なければいけない。

 それはわかっているし、お金という存在が人を自由にすることも知っている。


 ただし、生きるために働いているのに時間を拘束される事で楽しく生きることを制限されるのは本末転倒では無いだろうか。


 また、働いた分だけ正当に評価されて賃金が加算されるなら文句はないが、評価する側が雇う立場であり、その評価基準が明確のようで明確でない部分がある場合、上級認定が出来る大多数を中級に認定すれば払うべき賃金の上昇を押さえることも可能ではないかと邪推できる場合、そんな環境で必死で結果を出す事こそ無駄な努力だ。


 よって私は勝手に能力認定して長時間労働の仕事ばかり振ってくるギルドと袂を分かち、現在はフリーなパートタイム魔女となっている。


 自分で決めた働く時間は四時間まで。


 時給二千五百バイツは私的には安いが、仕事が無い事も不安であるのでコンスタントに仕事が貰えるにはこのくらいが精々であろう。


 とりあえず、私が食べていければ良いのだ。



 そんな謙虚な私なのに、なぜかどこぞの王国の騎士団に囲まれて、なんと、剣を突きつけられているのである。


「これは何の冗談ですか?」


 私にそのようなことをさせている大将は私の真向かいに座っているが、彼は悠然と笑うと酒屋の木のテーブルに肘をついて組んだ両手の甲に顎を乗せた。


 二十代にしか見えない若々しい外見でしかない男でもあるが、白を基本とした近衛服に勲章をジャラジャラつけている。

 その点で彼は隊長クラスであり、私に向ける軟派な笑顔でも私の背筋をぞっとさせる殺気を放てるぐらいの人物だ。


 アンティックゴールドに輝く髪に縁どられた輪郭は兵士にしては柔和で中性的でもあり話が通じそうにも見えるが、しかし、秀でた額や真っ直ぐな形の良い鼻梁は彼が理知的でかなりの頑固者であるかもしれないと私に囁きかける。

 私のギルド脱退が呼んだ面倒なのは違いないが、私は目の前の面倒がどのぐらいの面倒であるのか測りかねていた。


 なにせ、目の前の近衛隊長様は私を口説いているのだ。


「お願いだ。俺と一緒になってくれ。そうしたら君に三食昼寝付きを提供しよう。一日四時間、一時間二千五百バイツで自分を安売りするくらいなら、フォルモーサスの近衛連隊長である、この俺、ノーマン・アンティゴアの妻になってはどうだろうか。俺は兵隊だからすぐ死ぬだろう。俺の財産はみんな君のものだ!」


「私とあなたは初対面でしょう。それに、断ったら剣で殺すと脅す男と一緒になるはずないじゃない。」


 真っ黒のローブで顔半分ぐらい、それも、口元しか出していない私の顔も知らずに結婚を口にできる男を信じる事も無いが、私はノーマンの軽い口調の中に必死さも見え隠れしているように感じていた。

 一緒に旅をした仲間だった誰かの純粋だった頃を思い出すような瞳でもある。

 ノーマンの瞳は虹彩が虹のようにも見える不思議な色合いで、美しいだけでなく、くだらない結婚話をしながらも私を馬鹿にしている色が見えないのだ。


「君の唇はとても美しい。俺は唇フェチなんだ。」

「うわあ!」


 どうしよう。

 実は私も自分の唇の形は自慢の一つだ。

 上唇は品良い山形のラインを作っており、下唇は少々だけぽてっとしている。

 だが、アヒル口ではなく、そう、キスをしたくなる可愛い唇って感じなのだ。


 唇フェチが本当ならば私の唇に惹かれるのは当たり前であり、うん、これは仕方がないと彼を認めよう。


「ねえ、結婚して。俺の舎弟達は俺の幸せの為には血みどろになっても俺の為にひと肌もふた肌も脱ぐつもりだもの。余計な戦闘は嫌でしょう。」


「そうね。大魔女リガティア・エレメンタインを剣でどうにか出来ると考える程度の戦士でしか無いのならば、酒場の隅で血まみれで転がる未来を迎えても仕方が無いわね。」


 私に剣を向ける男達の殺気が一様に高まり、そこで私は彼等の剣を全て赤さびのボロボロにと変えた。


「うわ!」

「なんだ!」

「俺の剣が!」


 驚きに剣を次々と男達は床に落とし、石の床に落ちた剣は次々と砕けた。


「私はエレメンタイン。四大元素の全てを操れる魔女です。そして、長時間労働何て今更にしたくないの。」

「だから、俺の妻として!」


「奥さんって三百六十五日休みがない職業って言うじゃない。」


 私はこの場から瞬間移動しようとしたが、なんとノーマンによって私の行く手が遮られた。

 魔法じゃない。


 なんと、彼は私に土下座したのだ。


「頼む!恋人からでもいいから、俺とクロードリアへ行ってくれ!」

「どうしてクロ―ドリア限定なのよ!それから、普通は友達から、でしょう!」

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