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はじまり2

 体を四方から鋭い痛みが襲った。


そしてよろめいた先には、赤だというのに突っ込んでくるダンプカー・・・


――――――――――――――




 ――――――!!!!


 

 勢いよく身を起こす。なんだろう・・・すごく嫌な感じだ。


 『あぁ、やっと起きたのね。良かったわ。いきなり鼻血拭いて倒れちゃったから心配したのよ』


 頭上から声が聞こえた。見上げるとそこには先ほどの美女・・・服は変わっていた。


 すこし目を瞬いて周囲を見回す。目の前にはただ真白い空間が広がり、前にあるテーブルと椅子が合ってなくて変な感じだ。私が横たわっていた所にも何にもない、というか床もない。無重力というやつだろうか?


 いまいち、わけがわからず問うような視線を美女に向けた。すると彼女は『座って』と、私を椅子に座るように言って、自分も向かい側に座った。パチンと彼女が指を鳴らしたらいきなり目の前に紅茶らしき飲み物と色とりどりのお菓子が現れた。


『食べて』と言われたので恐る恐る、お菓子をつまんでみた。すごくおいしかった。


 お腹がすいていたので、遠慮なくモグモグ食べていたら、彼女が話し始めた。


『さっきは、すごくびっくりしたわ。いきなり赤くなったと思ったら、鼻血を出すんだもの。大丈夫?あぁ、あと私の名前はヴァリアよ。よろしく』


「よ、よろしくお願いします?千佳です。 あとさっきの鼻血は私の悪癖の一つです。ごめんなさい、ドレス汚しちゃって。」


 そうなのだ。私は美女または美男子を見ると所かまわず鼻血を吹く、という悪癖を持っているのだ。この他にもまだ厄介な癖があるのだが、それは秘密だ。はずかしいから。


『厄介な癖ね。ドレスのことは別に気にしないで』


 うう、いい人だ。美女あらためヴァリアさん。美人なうえに性格も良い・・完璧じゃないか。・・・また鼻がムズムズ・・・


『また出てきたわよっ!?』


「ご、ごめんなさい。ティッシュ突っ込んでもいいですか?」


 ポケットに入っていたティッシュを丸めて鼻に突っ込む。すごく間抜け面だろう。


 そんなことよりさっきから気になってたことを聞かなきゃ。


「ここは、どこですか?私、さっきまで家に帰る途中だったハズなのに・・・」


 そうだ。こんな所、来た覚えは全くない。早く家に帰ってテレビの再放送をみないと・・・。


 ヴァリアさんはなんか言いにくそうに顔をしかめたが、私の顔をみて決心がついたのか話し始めた。


『ここは、ヴェロヘルダーナっていう世界の天界・・・つまり神が住む所よ。まぁ、住んでいるのは私だけだけれど』


 ヴェロヘルダーナ?というか神って、ヴァリアさんは女神さまだったの!?そうか、だからこんなにも美しい・・・じゃなくて!!


「天界ってそういうことですか!?それにヴェロヘルダーナって何!?」


 世界って、地球じゃないの!?


『ヴェロヘルダーナはあなたがいた世界・・・地球とは異なる世界なのよ。そして私がこの世界の神・・・』


「ちっ、地球じゃないんですか!?どうして・・・私・・・どうしてこんな所にいるの!?

ちゃんと帰れるんですよね!?」


 勢いよく言った私の顔から、ヴァリアさんは顔をそらした。

 

 なんだろう、すごく嫌な予感がする。


 ヴァリアさんが口を開こうとした。でもヤダ・・なんかすごく聞きたくない。


 私は思わず目を瞑り、耳を塞いだ。


 でもヴァリアさんの声は直接脳に届いて、耳を塞いでも無意味だった。


『ごめんなさい・・・あなたはもう帰れないの・・・』


 体が震えた。すごく寒い・・・。


 もう帰れないの・・・?どうして・・・?


「どうしてですか?なんで・・・なんで帰れないの!?」


涙が出てきたから少しくぐもった声になってしまった。


やだ、ヤダよ。帰りたい。


 顔を蒼白にし、震えながら泣きだした私を気まずそうに見ながら、彼女は衝撃の一言をはなった。



『だって・・・あなたは・・・あっちで・・・死んだから』




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