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97回 やって来たのを生かして帰すわけにもいかない 11

 気の流れが見える。

 それは以前から出来ていた事ではある。

 しかし、今のユキヒコは以前よりも更にはっきりとそれが分かる。

 相手から放たれる気が見えるのだ。

 それは体の動きよりも先んじて発せられている。

 だから攻撃がやってくるのが分かった。



 それだけではない。

 相手の思考、気持ち。

 明確に分かるという程では無いがそれすらも察知する事が出来ている。

 何をどうしよう、次はどうするといった事が。

 このため、相手の攻撃を全て見切る事が出来た。



 達人と呼ばれる者達の中にも、こういった事が出来る者はいる。

 さすがに思考を読むほどではないが、次にどう動くのかを事前に察知する。

 そういった事が出来るまでに直観に優れた者もいる。

 これによりうごきを先に読み、戦闘で優位に立つ事が出来る。

 魔術や奇跡のように思えるがそうではない。

 人間が持ってる洞察力などを研ぎ澄ました結果である。

 どちらかというと技術に近いものがある。

 珍しいと言えば珍しいものではあるが、これが出来る程の高見に到達する者は少数だが存在する。

 しかし、ユキヒコのやってる事はこういったものでもない。



 見えるのだ。

 感じるのだ。

 相手の動きから『次はこうくるかもしれない』と予想してるわけではない。

 相手の構えや太刀筋から動きを予想してるわけではない。

 相手の表情などからそれとなく感情を読み取ってるのではない。

 相手が持ってる気。

 それが示す動き。

 意図して意志を持てば必ず出てしまう気の流れ。

 それを見て感じているだけである。



 魔術や奇跡にも似たような作用をもたらす術はある。

 しかし、ユキヒコはそれらを用いてるわけではない。

 ここ最近開眼してきてる能力。

 持って生まれ、今まであまり働かなかったそれが活性化している。

 そんな感覚をおぼえていた。

 それは身体能力や五感の強化と同じで、自分の持ってた何かが開花していくように感じられる。

 魔術のように後天的に学習して身につけたものではない。

 奇跡のように神より授かったものではない。

 生まれ持った天性が発現してる。

 そういったものだった。



 その力を用いて、相手の剣戟をかわしていく。

 刀で弾き、体を動かして避けていく。

 攻撃を仕掛ける程の余裕はないが、防ぐだけなら難なく可能だった。

 事前に分かっていればこれほど簡単な事は無い。

 しかも、この感覚はどんどん鋭敏になっていく。

 確実に相手の動きを読み取り、それに合わせて体を動かしていける。

 いささか不明瞭だった相手の意識も、だんだんはっきりと掴めるようになっていく。



 そうなってくると、もう防いでるだけというわけでもなくなる。

 相手の動きは鋭く、下手な事をすれば即座に致命的なものになる。

 しかし、それすらも難なくいなせるほどにユキヒコの動きも冴えていく。

 伝わってくる、読める動きに体を合わせていける。

 そうしていくうちに相手の動きを凌ぐようになっていく。

 防戦一方だったのが、少しずつ攻めるようになっていった。

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