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91回 やって来たのを生かして帰すわけにもいかない 6

「それじゃ、何かあった場合は頼むぞ」

 そう言ってユカリは、七人を残して町へ向かった。

 さすがに恐怖をおぼえる。

 盾は持っているが、遠距離から攻撃を受けたらひとたまりもない。

 そうならないよう願いながら、進んでいく。



「全員手を挙げてくれると思ったんだけど」

 歩いてる途中、同行者の一人が声をあげる。

 文句を言っているように見えるがそうではない。

 不安を紛らわそうと口を開いてるのだ。

 その内容が先ほどの事になるのはいたしかたない。

「そう言うな。

 あれはあれで当然の判断だ」

 苦笑しつつユカリは応じる。

 実際、手を挙げなかった者達の顔を見て、ユカリは察するものがあった。



 一人はこの中では古株で、ユカリとほぼ同期と言える者だった。

 一行の中では副長格であり、ユカリに何かあった場合の指揮を執る。

 その為、ユカリと共に町に向かう事が出来ない。

 二人とも倒れたら指揮を執る者がいなくなるからだ。



 他の者達も同じである。

 危険を極力避けようとする者。

 安全を確保しようとする者。

 そういう性格の者が手を挙げていなかった。

 臆病というわけではないが、安全確実な方向を選ぶ傾向はあった。

 だからこそ今まで生き残ってこれたのかもしれない。

 それに待機する者の役目をしっかりと理解してるようでもあった。

 最悪の場合、どんな事があっても生き延びて事の次第を報告するという。

 今回の行動、これが最大の目的である。

 それを確実に達成しようという意志は見て取れた。



「あいつらなら何とかしてくれるだろう」

 期待も多少入ってるが、そう感じさせてくれる面々だった。

 だからこそ、手を挙げないでくれた事がありがたい。

「それより、私たちの方だ。

 何があるか分からないから気をつけていかないと」

 来なかった者達への恨み辛みよりも、己の心配が先である。

 それについてあれこれ言うよりも自分達がこれからどうするかを決めねばならない。

「とにかく、何かあったらすぐに逃げろ。

 外に出て合流しろ。

 誰かが残っても見捨てていけ。

 全員死んだら元も子もない」

「それが隊長でもですか?」

「もちろんだ」

 躊躇う事無くユカリは応えた。

「……そんな事にならないでもらいたいがな」

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