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83回 領主と武家の、それぞれの娘 2

 フユキとの接点はそういう所から生まれた。

 きっかけは臨時で貴族の婦女の警護を請け負った時。

 そこで出会ったのが最初の接点となった。



 武家の出身者で女が揃ってるというのは、こういう時に便利であった。

 比較的簡単に動かせるので臨時雇いには都合がいい。

 しかも女だけだから、変な気遣いをしないで済む。

 それなりの地位にいる女の警護などに用いるにはうってつけだった。

 最低限の教養や礼儀なども備えているので、貴族に付けても問題を起こすことも少ない。

 急遽集めて使うには便利な駒であった。

 そうした事で、フユキの警護を任される事があった。

 最初の接点はここかれ生まれていった。



 更にフユキは義勇兵の話に興味をもったというのもある。

 外との接点が少ない貴族の令嬢にとって、ユカリ達がもたらす話は面白いのだろう。

 義勇兵の場合、特に様々な境遇に遭遇するので、通常ではありえない体験もする。

 危険をかいくぐるような状況など、貴族ならばまずあり得ない事態だ。

 そういった事に興味を持つのは、むしろ当然の流れであるかもしれなかった。



 その相手にユカリは都合が良かった。

 何せ実家はそれなりの立場の武家である。

 最上位というわけではないし、何か謂われがある家というわけではない。

 ただこの地域では、そこそこ良い家という程度である。

 その為、フユキの相手にはうってつけだと周囲に判断された。

 同じ武家の出自と言っても、他の者達はそこまで高い地位というわけではない。

 それこそ武家としては最下級だったり、それより良くてもその少し上くらいの者達が多い。

 そういった者では、フユキの相手をするには色々と問題があった。

 単に家の格が合わないという事では無い。

 最低限必要な教養や礼儀というものが無いのだ。



 人間、共通の話題というものが無いと話が合わない事がある。

 例えば同じ趣味があると話が弾む。

 それと同じで、互いに共通する部分が無いと話にならない事がある。

 使う言葉の違いなどにもあらわれる。

 例えば自分を表す言葉でも、『僕』『俺』『わたし』『わたくし』『自分』『それがし』『我』『手前』など様々な言い方がある。

 この言葉使いの違いにより、会話が成り立たなくなる事があるのだ。

 元になる言語、母国語は同じであるのだが、知り得た言葉の違いで意思の疎通が出来ない事もある。

 この違いがあるので、多数を占める武家出身者ではフユキの相手にならないのだ。



 そうでない高位の武家出身者もいる。

 なのだが、そうした者は数が少ないし、たいていは武家出身の女義勇兵達を率いる立場だったりする。

 忙しくてフユキの相手をしてる余裕がなかなか無い事が多い。

 その為、しかもそれなりの家の出身であるユカリに白羽の矢が立った。

 それだけの余裕があるというのも大きかった。

 新参だった為立場が弱いというのも理由の一つである。

 ようは、フユキの相手をユカリに押しつけたのだ。



 そういった事情や理由はユカリにも察する事が出来た。

 さすがに文句も言いたくなった。

 しかし、断る事も出来ず結局引き受ける羽目になり現在に至る。

 だが、結果としてこれが良い方向に転んでくれた。

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