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417回 容赦は決してしない、情けは絶対にかけない、仇になってかえってくるだけなのだから

 それからイエルことエルは進撃を続けさせた。

 吸収した敵対国の者達を使って。



 自分の奴隷となってる者達を使うのはもったいない。

 なのでエルは他国の者達を使う事にした。

 それならば損失はない。

 人が減ればエルは自分の奴隷を送り込んだ。



 あぶれてる部屋住みの次男三男などいくらでもいる。

 それらを空いた田畑や町に送り込んでいった。

 占領制圧は簡単にできるようになった、時間はかかるが。

 しかし、覚醒を経て寿命が無限と言えるほど延びたので関係が無い。

 邪魔な旧住民を次々に追い出し、静かに侵攻を続けていった。



 イエルにとって戦争は終わってない。

 終わったのは武力衝突だけだ。

 敵対国はまだ残っている。

 それらを完全に消滅させるまで戦いは終わらない。

 だから平和になっても戦いは続いていた。



 むしろ、平和こそ侵略を簡単にする事が出来る。

 移民、難民、流民。

 戦争ならば国境で押しとどめられただろう。

 しかし、平和ならばそれも出来ない。

 人の動きを留める法はない。



 まして既に同じ国。

 国境が崩れた今、他国の人間が流れてくるのを止める事は出来ない。

 これを用いてエルは自分の手下を次々に送り込んでいった。

 その名目も既にある。

 人手不足の解消。



 戦争に人を投入してるのだから、当然人手が足りなくなる。

 それを補うという名目がある。

 その原因を作ったのはエルであるのだが。

 完全なるマッチポンプである。



 エルの目論見を見破る者もいるにはいた。

 しかし、現実に存在する労働力不足を理由に退けられていく。

 目先の問題解決の為に、取り返しのつかない失態をおかしていく。

 特に支配者層は現実が見えてなかった。



 生き残った王侯貴族。

 彼らは政治や自分達の立場が無事ならそれで良かった。

 一部に例外はいたが、下が入れ替わろうともかまわなかった。

 求めるのは税収である。

 それが確保出来るなら、誰が下にいようと関係がなかった。



 そんな彼らは入れ替わった住人によって排除されていく。

 エルの下僕達によって。

 国教として幼い頃より教えにひたってきた者達だ。

 エルへの賛美と崇拝、つまりは従属と奴隷化はすり込まれている。

 そんな彼らが、もともとはエルの敵だった者達を許すはずがない。



 そもそも、王族貴族ならば彼らの元の国にだっている。

 代わりはそこからつれて来れば良いのだ。

 何で敵の王や貴族をいただかねばならないのか?

 エルの下僕達はそう考えていた。



 そして捕らわれた王侯貴族は全て殺されていった。

 女子供に老人の区別なく。

 生かしておけば後の火種になる。

 そんなものを残すほどエルは愚かではなかった。



 ロシア革命において、ロシア皇族は全て皆殺しにされたという。

 このため、革命に対抗する勢力は結集が出来なかったとも。

 中心になる存在を消すというのは、これだけの効果があるのだ。

 エルが手を抜くわけがない。



 もちろんエルはロシア革命の事は知らない。

 しかし、敵は残しておけば問題にしかならないのを見抜いている。

 だから縁がある全てを潰していった。

 それこそ飼っていたペットですらも。

 これにより一族のみならず郎党も全て消失した。



 これにより多くの者は知る事となる。

 関係があると見なされただけで滅亡させられると。

 それは効果絶大だった。

 何せ、エルと敵対する全ての国で、王侯貴族から離反する者があらわれたのだから。

 誰だって滅亡などしたくはない。



 もし対抗してる側が勝ってるならこんな事にはならなかっただろう。

 相手がどんなに残虐でも、それに屈する事は無い。

 むしろ、そんな残虐なものに負けてなるものかと考える。

 勝利を得て、残虐非道な輩を消す。

 そう考えるだろう。



 しかし、対抗する側の神々は負けている。

 異種族連合/魔族と呼ばれる者達はそうではなかったが。

 負けてるのならば、勝ってる相手に取り入ろうとするのも人情だ。

 まして、仕えてる主が自分の命をかえりみてくれないならば。

 ゴミ屑ほどの価値もない意地を、道義や人の道などとほざいて強要してくるならば。

 そんなものに殺されてはたまらない。



 こうして少しずつ離反者が増えていく。

 これにより戦力も国力も減少していく。

 内部情報も筒抜けになっていく。

 エルに対抗してた神々は次々に滅亡していった。

 それを崇拝していた国も含めて。



 そうしていく中で、エルは敵対する全てを滅したわけではない。

 自分の方に裏切ってきた者の一部は取り入れていった。

 裏切り者達を。



 彼らは王族・貴族・商人職人の有力者・平民など様々だった。

 だが、見切りをつけてエルの側に来たのは間違いない。

 それらをとりあえずエルは受け入れていった。

 ただ、中枢などには据えなかった。



 当たり前だ。

 別勢力だった者を流し込まれればどうなるか。

 それはエルが一番知っている。

 内部崩壊の原因になるような事をわざわざするわけがない。



 だから、そうした裏切り者達には新たな土地を与えた。

 戦争で奪った適当な国を。

 もともと済んでいた住人を追い出して。

 あるいは、元の住人を皆殺しにして。

 そうして、寝返った者達を集めて国を作らせた。



 その国の中でなら、何をしても自由にさせた。

 反逆や反乱でなければ。

 分散させておくよりは、一カ所に集めた方が都合が良かった。

 もちろん保護するつもりはない。

 潰えるなら潰えてくれた方がありがたかった。

 その為の努力もした。


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