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409回 停滞・崩壊・滅亡をもたらす者

 それでも人々は、世の中を少しでも良くしようと。

 自らの生活を多少なりとも向上させようとした。

 時に手を取り合い、時に反発しあいながらも。

 その都度様々な障害が発生したが、どうにか乗り越えて進んでいった。



 そんな発展を止めるために、調和・均衡・中立の魔術装置は動いていった。

 その一つが、後に女神イエルとなる者と、それを生み出す母体となった宗教だ。



 それらは何がなんでも発展しようとする文明を破壊する。

 勢力を伸ばせば、発展どころではなくなる。

 戦争に労力を割かねばならなくなる。

 そこで文明は調和・均衡をとる事が出来るようになる。

 魔術装置はそう考えていった。



 もちろん、イエルの勢力を増大させるわけにもいかない。

 既存文明を破壊しないように、一定のところで押しとどめるつもりでいる。

 魔術装置はイエルを擁護してるわけではない。

 ただ、その時点では必要だし有効な手段だから用いてるだけだ。



 そうやって勢力の均衡をもたらしていく。

 それで両者が発展を止めればそれで良い。

 終わらない戦争を続け、硬直状態になる事が理想だ。

 そうすれば、発展という調和・均衡を崩す状態はなくなる。



 その考えの異常さは際だっている。

 そもそも、調和や均衡、中立と言ってるのが間違っている。



 まず、人は決して等しくない。

 格差だらけといえる。

 顔かたちが違う、もってる能力も違う。

 性格や人格だって違う。

 完全に同じ者など存在しないだろう。

 ときおりうり二つという人間がいるとしてもだ。

 人類全体が同じという事は無い。



 何一つ平等ではないのだ。

 それを等しく扱おうというのが間違っている。



 どうしても発生する優劣などは無くしようがない。

 単純なところで、足の速さだけでも違いはある。

 手先の器用さや、頭の良さでも違いがある。

 すばしっこい者もいる。

 目の良いものもいる。

 性格だって、気の優しいものやのんびりしてる者など違いがある。



 それらをならす事は出来ない。

 違いはどうしたってあるものだ。

 その違いによって接し方が変わるのも当然のこと。

 全てに等しくというのは、間違いとしか言い様がない。



 こうした違いのある人間が作ってるのが社会である。

 等しくない人間が作ってるのだ。

 そこに均衡などあろうはずがない。

 どうしたって何かが優先される。

 そして、何かが切り捨てられる。

 それもまた自然な流れの結果というべきだろう。



 なのにそれをねじ曲げようとする。

 その結果、破壊と破滅を引き起こしていく。

 無理を通して道理を引っ込めた事で。

 道理が無くなれば、あとは崩壊・衰退・消滅するしかない。



 道理とは、世の中の流れが滞りなく動いてる時に発生するものなのだから。

 あるいは、世の中の流れを円滑にするものである。

 無くなれば崩れ落ちるのは当たり前。

 その当たり前を無視して調和や均衡を通しているのだ。



 調和・均衡・中立。

 それは、停滞・崩壊・滅亡をもたらすものでしかない。

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