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405回 調和・均衡・中立を司ると自称する者

 その時、調和・均衡・中立を司るとうそぶく者は疑問をもった。

 彼が監視している世界で、多くの種族が姿を消したのだ。

(何があった?)

 理由も分からず途方にくれる。

 だが、何もしないわけにはいかない。

 持てる力の全てを使って調査をしていく。



 調和・均衡・中立は世界全体を見渡す事が出来る。

 それは時間についても言える。

 過去から未来まであらゆるものを見通す能力がある。

 それを用いて全てを見渡していく。

 しかし、結果は芳しくない。



 消えた種族はどこにもいなかった。

 イエル側から魔族と呼ばれた者達。

 異種族連合と言うべき者達はただの一人としてこの世界にはいない。

 それは現在や未来からだけではない。

 過去のどの時代からも消えていた。



(一体どうして?)

 疑問を解消するべく、何か痕跡はないかと探す。

 消えたにしても、もともとはそこに居たのだ。

 それが消え去ったとなれば、なんらかの痕跡が残るはず。

 そう思って探していくのだが。

(…………何もない?)

 どこにもそんなものは無かった。



 ここまで綺麗さっぱり消えるというのが信じられない。

 こんな事、今まではあり得なかった

 魔術や奇跡で転移をしても、その痕跡がどこかに残った。

 気の残滓が足跡のように残るものだ。

 しかしそれが一切ない。



(いや……)

 ふと、とある事に気づく。

 消え去った者達のいた所。

 そこには、突如あらわれて、突然消えた気があった。

(これは)

 心当たりがある。



 それは過去に戻ってイエルを消そうとした者のものだった。

 それは阻止できたが、取り逃してしまった。

 どうやって消えたのか、どこに逃亡したのか。

 それは分からない。

 だが、その者の気が確かにそこにあった。



(どこから来た)

 一つの疑問は解消された。

 だが、新たな疑問が浮かぶ。

 誰がやったのかは分かったのだが。

 どうやってやったのかが分からない。

 そもそも、そいつもその他の大勢もどこに消えたのか?



(この世界にはいないようだが)

 調和・均衡・中立をうそぶく者の見渡す範囲は広い。

 少なくとも、異種族連合とイエルが争っていた大地/惑星の出来事は把握出来る。

 なのだが、そのどこにも姿が見当たらない。

(別の大地に行ったのか?)

 考えうる範囲で妥当なところだとそんなところだ。

 となれば、もう調和・均衡・中立をうそぶく者には手が出せない。



(やむをえんか)

 残念に思いながら、調和・均衡・中立をうそぶく者は諦める。

 やろうとしていた事、やらねばならない事が出来なくなってしまったが。

 それも仕方ないと諦める。

(あと少しイエルを拡大したら、均衡を図るつもりであったが)

 それが出来なくなって残念だった。

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