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400回 あらゆるものが発生していく

 宇宙はどうやって発生したのか?

 それが今のユキヒコの疑問だった。



 色々とやってみたが、どうにもならなかった。

 自分自身の体を使ってあれこれ試してみたりもしたが。

 それでも結果は出てこなかった。



 一度は体を素にして宇宙のようなものを作ってもみたが。

 極限まで体を拡大し、余剰部分となった所を転用した。

 そうして宇宙に似せた空間を作ってみた。

 しかし、そうしてみても、結局は宇宙にはならなかった。

 真似して作った似たものでしかない。

 それに、この方法では宇宙発生が説明つかない。



 あくまでユキヒコの体を使って作ったものだ。

 材料になるユキヒコの体というものがあって初めて成り立つ。

 だが、宇宙の誕生や発生にはそうしたものはなかったはずである。

 過去を遡って確認したが、そこには材料や原料になるものが全く無かった。

 それなのに宇宙は誕生した。

 どうしてそうなったのか?

 そこが分からなかった。



「何もないのになあ…………」

 虚無の中を漂いながら考える。

 何もないのに、何故宇宙が出来るのか?

 あらゆる要素を含んだ時空間が発生するのか?

 そこが分からなかった。

 宇宙の外にあるこの場所でだ。



 何度も何度もそんな考えが出てくる。

 繰り返す同じ疑問に辟易する。

 うんざりしながら、それでもユキヒコはそんな考えに意識を向ける。

 そこに何かがあるはずなのだから。



 考えが堂々巡りするのは、およそ二つの理由によるだろう。

 一つは、それで物事が完結してる場合。

 考えてる事についての結論が既に出てる場合だ。

 それ以上考えても意味がない。



 もう一つは、何か見落としがある場合。

 一つの事に固執して、それ以外が目に入ってない事がある。

 その為、間違ってる事を延々と繰り返してしまう。

 正しい何かを見つける事を忘れて。



 もしかしたら、何かを見落としてるのかも。

 そう思うからユキヒコは自分の考えに意識を向ける。

 繰り返す考えとは違った何かを模索するために。

 とりあえず、そういった考えになる原因から洗い直していく。



(何を見落としてんだ?)

 足りない部分を見つけ出す為に考えていく。

 そうなってしまう発想そのものすらも。

 もしかしたら、考えの開始からして間違ってるかもしれないのだ。

(だとすると……)

 自分の考えでおかしなところ。

 実際の現象とは結びつかないところ。

 それを探していく。



 実際に起こった出来事が事実であり、真実である。

 口で何を語ろうとも。

 頭の中でどれほど考えようとも。

 現実に起こった事と違うなら、それは全て誤りである。

 単純だが、これが真理である。



 そう考えたユキヒコは自分の思い込みに気づいた。

「…………そっか」

 考えの根底にあったもの。

 何を素にして発生していたのか。

 それを考え直す。



 何かがあって、そこから発生したのではない。

 何もないところに発生した。

 この事実を認められなかった。

 だから宇宙の発生を正しく見る事が出来なかった。



 それは何もない所に発生したのだ。

 材料になるものなど無いのに。

 ならば、材料を探す必要が全くない。

 そんなもの必要ないはずだ。



 だが、それは宇宙の中での話だ。

 そこでの常識など必要ない。

 実在する世界や宇宙の常識は、虚無では通じない。

 虚無には虚無の常識が、法則がある。



 そう考えると、様々な考えが浮かんできた。

 今までの常識、世界や宇宙での考え方とは別のものが。



 まず、虚無が世界や宇宙の外にあるのではない。

 宇宙が虚無の中に浮かんでいる。

 今までは実際に存在する世界や宇宙を基準にしていたからわからなかった。

 だが、あらためて虚無を中心にしてみると、そうした考えが変わっていく。



 発想の転換。

 これがユキヒコの中に起こっていた。

 基準をどこに置くかという事だ。

 今までは世界や宇宙の在り方で物を見ていた。

 知らず知らずにそうなっていた考えを、今は一旦置いておく事にする。



 では、何をどうしたら虚無に作用する事が出来るのか?

 物は必要ないのは、状況からして間違ってはいないように思える。

 宇宙発生の瞬間などがまさにそうだったのだから。

 それ以外の何かが必要なはずだった。

 と、ここまで考えて、その考えをふりはらう。

「いやいや……」



 何かが必要。

 そう思っていたから、見えてたものが見えなくなっていた。

 虚無においては、物質を伴う宇宙の在り方を基準に考えてはならない。

 むしろ、その反対が必要になる。

 その事を念頭にあらためて考えていく。



 何も必要がない。

 ならば、何も用意せずに実行すればいいのでは?

 そんな考えに至る。

 いささか荒唐無稽な考えだ。

 しかし、今はこれで良いのではと思っていた。



 あえて、何もない、何も用意しない。

 その状態で作用させてみる。

 虚無という何もないはずの空間に。

 それでどうなるのか。

 試してみる価値はある。

 失敗したとて、失うものはないのだから。



(それじゃ…………)

 あらためて何も無い虚空に向かう。

 空間も時間もない、文字通り何もない虚無に向かって。

 そこに向けてただ一つ、願いや思い、意思を向けていく。

 上手くいくかどうか分からないまま。

(まずは、これを)



 そう思って虚無に向かって意思を投げかける。

 反応はすぐに起こった。

 何もない虚空。

 そこに今まで無かったものがあらわれる。

「…………嘘だろ」

 驚く。

 というより呆けてしまう。

 あれほど手こずっても何も出来なかったのに。

 今、あっさりと結果が出てきてしまった。

「本当かよ」

 結果そこにあるのに、それを疑ってしまう。



 だが、間違いようがない。

 確かにそれはそこにあった。

 それを確かめる為に、ユキヒコはそこへと飛ぶ。

 間にある虚無を越え、世界の間を渡っていきながら。



 この時ユキヒコは、虚無の中に宇宙を作り出す事に成功した。





やしろユキヒコの能力値>


体力 296 → 477

反射 299 → 483

判断 305 → 489

心意 378 → 509



知識・精神系統技術:


 宇宙の理を知る → 宇宙発生の理を知る


運動・作業系統技術:

 宇宙の仕組みを形作る → 宇宙の発生を形作る




『転生者』

『覚醒階梯 8 → 9』

 チートってこれくらいの事が出来る事をいうと思うんだ。

 でないと規格外とは言わないだろ?


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