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398回 全てが消えていく

 何も無かった。

 虚無という通り、そこには何も無かった。

 物質はもとより、気もない。

 何も誕生せず、何も崩壊しない。

 さりとて停滞や停止状態とも違う。

 そういった事を超越、あるいは全く趣を異にした何も無さだった。



「なんだこりゃ……」

 あまりにも異質すぎて、そんな事しか言えなかった。

 完全に何も存在しない。

 光や闇ですらも。



 いったいこれは何なのかと思った。

 全てが存在しない。

 そんな状態があるのかと驚くほどだった。

 とりあえずそれは、あるいはこれはと言うべきか。

 虚無には何もなかった。

 宇宙とは全く対照的に。



 宇宙というか世界というか。

 それは虚無とは対照的なものだというのが良く分かる。

 宇宙とは、有るという状態の塊だった。

 例え真空の宇宙空間であっても、そこにはなんらかの物質なりが存在する。

 あるいは光の波長、電波といったものが何かしらある。

 狭い範囲で見れば何も無い場所もあるだろう。

 だが、全体でみれば、どこかに何かしらが存在する。

 それは間違いなく『有る』という状態の塊だった。

 


 虚無はそれと対照的なのだ。

 何もない。

 どこまでも何もない。

 それは宇宙とは明確に違ったものだった。



 ただ、何も無いと言いながらも、そこには限りがなかった。

 何もないはず、存在すらしてないはずなのに、それは無限の広がりがあった。

 それもまた不可解なものだった。

 何も無いのに、なぜ限りが無いのか?



 対して世界や宇宙というものには限界がある。

 どれほど広大であろうとも、その大きさには限界がある。

 どこまでも膨張していようともだ。

 有限という限界が確かにある。



 そんな事をなんとなく感じながら、ユキヒコは虚無を漂っていた。

 これがなんであるのかさっぱり分からないままに。



 とはいえ、いつまでもそうしてるわけにもいかない。

 ここで何が出来るのかを確かめていく事にする。

 それが目的でここまでやってきたのだ。

 とりあえず手に付くところから色々試していった。



 何はなくとも場所が欲しかったので、それを作っていく。

 自分の体の一部を使い、それを元に空間を作ってみようとした。

 原子や更にその素になってるものを使えば出来ると思ったのだ。

 しかし、これは失敗した。



 体から切り離した瞬間に雲散霧消する。

 虚無の無という状態に耐えられないのだ。

 例外はユキヒコという存在。

 その霊魂にある。

 ユキヒコの霊魂と共にある場合、虚無によって散る事は無い。

 だから、体から切り離された部分は消滅していくのだろう。



 この事から、虚無においてはあらゆるものが消え去るのが窺える。

 例外となるもの以外は全て。



 それを踏まえてユキヒコは、自分を保ったまま体を拡大していった。

 自分の霊魂とつながってるなら、物体は存在できるのだ。

 ならばそれを拡大して何か作れないかと思っての事だ。

 これはある程度は上手くいった。



 巨大化した体をもとに空間を作る事は出来た。

 生命体も作れなくは無い。

 器だけならどうとでもなる。

 だが、それも限界が出てくる。

 体の一部を使って作った空間は、霊魂から切り離す事が出来ない。

 生命体の器も同じだ。

 ユキヒコから切り離された瞬間に消滅する。

 これでは作る意味がない。



 結局、虚無の中ではユキヒコだけが存在できる。

 それ以外は存在出来ない。

 とりあえずこの一点は判明した。

 しかし、分かったところで手詰まりではあった。

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