392回 何がどれだけ出来るのか、覚醒階梯の段階ごとの能力を振り返る
何はなくとも、己に出来る事を探っていく事から始まる。
覚醒階梯の上昇はそうしてなされてきた。
もし次の段階があるなら、やはりそうして到達すると思えた。
つまりは今まで通りという事になる。
その為の場所だが、それについても心配はいらない。
時空間を移動する事が出来るようになった今、場所も時間も意味をなさない。
それこそ宇宙に漂いながら生きていく事も出来る。
この場合、生きるというよりは、肉体の維持をするというが正しいのだろうが。
気力────霊魂から発する力によって肉体を維持する。
空気や食料なども必要とせず。
そんな事が出来るほど、ユキヒコは成長していた。
それもこれも、覚醒というものを重ねてきたからだ。
今ひとつ分からない覚醒。
それをユキヒコなりに解釈すると、備わっていたものに気付く事だ。
新たに何かを付け加えるのではない。
様々な力が使えるようになったが、それらは新たに付け加えられたわけではない。
霊魂がもともと備えているものが使えるようになった。
どちらかというと、その方が近い気がした。
最初は、気の流れが読めた。
ここが覚醒階梯1の段階だった。
今のユキヒコならばそれが分かる。
そして、第2段階で五感が強化された。
望遠などが出来るようになったのがそれだ。
第3段階で肉体強化。
短時間ではあったが、肉体の限界を超えた動きが出来るようになった。
それを越えた第4段階で、意識が拡大。
透視や念話などの精神的な超能力が使えるようになる。
意識に介入して洗脳などが出来たのもこの段階だ。
そして第5段階。
物理的な力として使える念動力が出来るようになった。
不可視の力でものを破壊したり、浮遊などが出来るようになった。
それを越えた第6段階は世界のあり方、世界の気の流れが見えた。
今までは自分自身だけに限った力だったのだが。
この段階になると、世界そのものあり方も分かるようになった。
そこに働きかけて、自然現象を動かす事すらも。
言うなれば、空間への介入能力と言うべきだろうか。
第7段階では時間を操る事も出来るようになった。
過去や未来を見て、あるいは時間を遡ったり未来に出向いたりと。
イエルを倒そうと思ったのも、過去に戻れるこの段階に到達出来たからだ。
そして、現在の第8段階。
この段階では様々な宇宙を渡り歩く事が出来る。
その間にある虚無という無限の空間を通る事で。
それも、別の世界に転生したという体験があったから出来るようになった事だ。
(うーん)
振り返ってみると、とんでもない事が出来るようになったものだと思う。
(なんでここまで出来るようになったんだか)
それも不思議なものだった。
全て霊魂から発したものだというのは何となく分かる。
だが、なんで霊魂にこんなものが含まれてるのか。
そこが分からない。
だが、分からないなら分からないでかまわなかった。
大事なのは、何が出来るかということ。
(あいつらを倒せればそれでいいし)
ユキヒコにとって大切なのはその一点だった。
それが出来るだけの力があるならありがたい。
今はそれで十分だった。
こういった力が使えるおかげで、時間や空間の制約を受けない。
肉体は気力で回復すればいい。
そもそも空気や食料も、肉体維持の為に必要なだけ。
気でそれを補填できる今、それほど必要というわけではない。
なので、宇宙空間でも問題無く生きていける。
なんなら宇宙などに適応出来るように、体を作りかえればいい。
念動力の応用で物質の組成に手を加える事も出来るのだから。
時間の方も同じだ。
覚醒階梯の第7段階になった時点で、時間に縛られない。
それこそ時間の流れと切り離された所に身を置く事も出来る。
そこにいれば、現実における時間の流れにとらわれる事は無い。
どれだけの時間が流れようと、その中にいれば現実ではほんの一瞬の事になる。
修行期間は無限に存在する。
この力を使って、ユキヒコは新たな可能性を求める事にした。
いつか必ず報復するために。
以前の説明と違う部分もあるとは思うけど、これが正解
誤字脱字報告や、違うというの意見は不要




