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388回 取り逃がした事を悔やみ、手を出してきた何かに警戒する

「むう…………」

 中立を名乗る調和・均衡を司ると宣う者が疑念を抱く。

 もし体があったら首をひねった事だろう。

 目の前でユキヒコが消えた。

 その事が不可解だったのは言うまでもない。

 なぜいきなり消えたのか、その理由が分からない。

 だが、それだけが問題ではなかった。



「なんだ、いったい……」

 問題なのは、その時感じた何か。

 ユキヒコが消える瞬間に何かがやってきたような気がした。

 それは、ユキヒコの逃亡を助けるように。

 中立・調和・均衡を司るといってる者の行動を阻むようにやってきた。

 目に見えて何かがあらわれたわけではない。

 そいつでも感知しきれない何かが介入してきたように思えたのだ。

 しかし、それがなんなのか分からない。

 だからこそ不可解だった。

「いったい何が…………?」



 こちらの方が問題だった。

 ユキヒコの逃亡よりも。

 取り逃したのは確かに残念だが、それはどうとでもなると考えている。

 しかし、介入してきた存在がいるというのは放置できない。

 それは、中立・調和・均衡を司ってるという者よりも強力という事になる。

 あるいは、それですら知らない何かを持ってるのか?

 なんにしろ危惧を抱くに十分である。



 確実にそいつは、中立・調和・均衡を司るという者よりも強い。

 そんな事が出来るというだけで、それよりも力が上であると考えられる。

 よりにもよって、そんな者がユキヒコを助けたのだ。

 少なくとも、中立・調和・均衡を司るという者の邪魔をしている。

 ユキヒコを助ける意思や意図があるのかは分からない。

 結果としてそうなっただけで、介入してきた者にそういうつもりは無かったのかもしれない。

 だが、中立・調和・均衡を司るという者の邪魔をした。

 おそらく、それが目的や目標の中にはあるのだろう。

 でなければ、こんな事をするわけがない。



「しかし、なんのために?」

 理由が分からなかった。

 そんな事をしてなんの利益があるのか?

 利益が目的ではないかもしれないが、何のためなのかが分からない。

 そもそも、意図があるのかも分からなかった。

 たんなる気まぐれかもしれない。

 だとして、こんな事に介入できる者がどれだけいるのか。

 そこが見えてこない。

 少なくとも、中立・調和・均衡を司るという者と同等かそれ以上の能力がなければこんな事は出来ないだろう。

 それをする事が出来るのは誰なのか?

 全く見当が付かなかった。



 分かってるのは、何者かが介入してきたという事だけ。

 だからこそ不気味さがあった。

「まったく……」

 面倒な事だった。

「ただでさえ、厄介が増えたというのに」

 ユキヒコという想定外で規格外の存在があらわれてしまった。

 それへの対処だけでも手間だというのに。

 更に対処しにくい何かがあらわれてしまった。

 今後どうするかを考えねばならない。



 それでも。

 中立・調和・均衡をととのえるという役割は変わらない。

 どんな事をしてもそれを成し遂げていくという意思を貫く。

 それはそのつもりでこれからも世界に介入していこうとする。

 全てが偏る事無く。

 全てを等しくしていくために。



 その邪魔となるものは、あらゆる手段を用いて排除する。

 中立・調和・均衡に背くことになるが、それもやむをえない。

 世界全体の為である。

「ままならないな……」

 他に比べれば絶大な力を持つと、それ自体も自負している。

 しかし、それで全てがこなせるとは思ってない。

 出来ない事もある。

 それが歯がゆいしもどかしかった。

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