381回 旅立っていく、遡っていく、はるかな過去へ
時間の逆行によって、過去の世界に出現する。
体感時間でほんの一瞬の出来事。
でも、やってきたのは、見覚えの無い世界。
だが、そこがどこなのははっきりしてる。
覚醒によって得られた能力は、空間だけでなく時間上での所在地も知る事が出来る。
「来たか」
ユキヒコは目指す時代に到着したのを知る。
「ここにいるはずだよな」
そう思って周囲を探索する。
世界に満ちる気をたどり、自らも気を飛ばしていく。
そうして、目的の場所、目的の人物を見つける。
対象としてるのは、当然だがイエル。
この時代にいる、まだ神になる前の段階の。
それを見つけて倒す。
そして、今後の歴史を変えていく。
すべての元凶である存在を消すことで。
「待ってろよ、糞女」
そう呟きながら、この時代の状況を探っていく。
覚醒階梯7になって時間についての能力を得た。
これにより過去や未来の様子を見ることが出来るようになった。
あわせて、その時期の様々な情報にも触れることが出来るようにも。
これにより、この先の未来がどうなるのかが分かるようになった。
埋没した過去の出来事も。
そして見てみた未来は、悪くはないが決してよいものでもなかった。
最終的に異種族連合の方が勝つことにはなる。
しかし、イエル側の残党もしぶとく生き残り、その根絶には長い時間と多大な労力をかける事になる。
その間に発生する被害も馬鹿にならない。
金銭や物の損失・損壊もそうだが、人が受ける被害が無視できなかった。
一応は解決した問題であるはずなのにも関わらず、それで損害を受ける者がいるのだ。
あまりにも馬鹿げた話である。
だから、問題の根源を消滅させることにした。
すなわち、イエルの消滅を。
全ての問題がそこから発生してるなら、その根源を消すしかない。
そうすれば、派生する様々な問題すらも消えてなくなる。
実際にそう簡単にいくかどうかは分からない。
それはそれで別の問題も発生するとは思った。
しかし、それでもイエルがいるよりはマシだと思って過去へとやってきた。
その過去におけるイエルの居場所を探っていく。
ただ、イエルを倒すだけではない。
それもせねばならないが、倒すべきはそれだけではない。
イエルを取り巻くすべても対象にせねばならない。
でなければ、問題の解決にはならない。
元凶の消去は果たせない。
それは、イエルの生い立ちに。
彼女が生まれ育った環境が関わっているからだ。




