表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
372/428

372回 再会のち、蹂躙 10

 欲望は悪くない。

 むしろ、欲望こそ尊きもの、良きものといえるだろう。

 なぜならば欲望とは、言い換えれば自由であるからだ。

 自由、それは自分の好き勝手に事をなすというものではない。

 己の意思を成し遂げたいという思いであろう。

 それを否定してはいけない。

 もしこれを否定すれば、人は自らの意思を持たない奴隷になるしかない。

 ただ、忘れてはいけない事がある。



 自分に欲望/自由がある。

 そして、相手にも欲望/自由がある。

 だから相手の欲望/自由を尊重せねばならない。

 それでいて自分の欲望/自由も同様に大事にせねばならない。

 自分だけ一方的に欲望/自由を貫けば、相手を踏みにじってしまう。

 かといって他人の欲望/自由を尊重してるだけでは、自分を殺してしまう。

 その釣り合い、上手く自他共に栄えるところを見いださねばならない。

 でなければ、無用な衝突を生む。

 ユキヒコがそうなったように。

 今、勇者と聖女がそうなってるように。



 一方的な蹂躙。

 その点においてやってる事は今までと変わらない。

 圧倒的な力で相手をねじ伏せる。

 それをしてしまったからこそ、イエル側はユキヒコを敵にしてしまった。

 今それをやり返されてる。

 もっとも、勇者と聖女達がそこまで分かるわけがない。

 彼らにはユキヒコについての情報がない。

 また、身につけてる常識が邪魔をして、ユキヒコの行動を理解する事が出来ない。

 何一つ不可解な事は無いのに。

 だからこそ、ユキヒコによって恣にされる事に憤りもする。



「ふーん、かなしいんだ」

 身動きが取れない勇者の前で、聖女達に精算をしてもらいながら問い詰める。

「でも、お前がやったことだろ

「やりかえされて、どうして腹をたてる?

「やられても我慢すればいいだろ。

 俺はそう言われたし、そう強制されたぞ。

 俺だけじゃ無いけど

「女をお前は…………お前らは奪っていった。

 だから俺も奪ってるんだけど。

 何かおかしいか?

「取られたのは、取られた方が悪いとでも?

 だったら別にいいだろ、お前が悪いんだから。

 取られるような事になってるのが悪いんだし。

「それとも、昔の事を掘り返すなとでも?

 だったら余計にかまわないだろ。

 今こうしてる事も、どうせ昔の話になるんだ。

「いつまでも過去にとらわれてるんじゃない。

 新しい道に進め。

「そういう事だろ。

 違うのか?」



 ユキヒコがかぶせてくる言葉。

 それに勇者は反発する。

 理性ではない、本能の部分で。

 感情もそこに加わる。

 それはそうだろう、勇者からすれば自分の女を目の前で好き勝手されてるのだ。

 憤らないわけがない。

 過去のいきさつがどうであれ、それを認めるわけにはいかない。

 それが彼のよって立つ社会や世の中、イエルの教えなどに反するからだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


_____________________

 ファンティアへのリンクはこちら↓


【よぎそーとのネグラ 】
https://fantia.jp/posts/2691457


 投げ銭・チップを弾んでくれるとありがたい。
登録が必要なので、手間だとは思うが。

これまでの活動へ。
これからの執筆のために。

お話も少しだけ置いてある。
手にとってもらえるとありがたい。


_____________________



+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ