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341回 食い違いによって生まれる問題はどこででも発生し、ほぼ確実に最悪の結果をもたらす 2

 士気の喪失は恐ろしいものである。

 これが無くなれば、敵の勢いに飲まれてしまう。

 その場合、戦いで力が出せずに押し切られる事になる。

 あるいは敗走の可能性を高めてしまう。

 最悪、戦う前に逃げ出す事もありえる。

 実際、今それがあちこちで発生しはじめた。



 もともとそれが無かったわけではない。

 怖じ気づき、人知れず逃げ出す者達はいた。

 しかし、それは少数であり、全体に大きな影響を及ぼす事もなかった。

 それがここにきて一気に加速する。

 たるんだ気持ちが更に意気消沈し、やる気を無くしていく。

 恐怖すら感じない怠惰な気持ちが蔓延し、目の前の作業への意欲を失う。

 そうなったら人間はもう動かない。

 それどころか、その場から退場する事を求める。

 今それが前線のあちこちで発生していった。



 それでもまだ士気が喪失してるだけならばなんとかなったかもしれない。

 まとめる立場の士官や将校が兵士達をまとめ、あるいは恫喝してでも持ち場につかせる事が出来たかもしれない。

 なのだがこれが士官や将校などのまとめる側にまで蔓延してるとそうもいかなくなる。

 あってはならない事だが、そういった者達も兵士などに迎合して逃げ出す事もある。

 更に酷い場合になると、士官や将校が率先して兵士を率いて逃亡する事もある。

 この前線も例外ではない。

 今、そこかかしこで士官や将校先導での逃亡が発生している。



 しかし、それすらもまだマシといえる状態がある。

 士気の喪失の更にその下。

 これよりも最も忌々しい状態。

 士気がマイナスに突入してる場合よりは。



 士気の喪失による脱走や逃亡も戦力喪失としては痛いものがある。

 だが、戦力の低下は確かにあるが、まだ誰も傷ついてないだけマシととらえる事も出来る。

 もっと酷い士気のマイナスという状態はそんな程度では終わらない。

 もっと悲惨な事を発生させていく。

 すなわち、反乱と裏切り・寝返りである。



 士気を忠誠心と言い換えてもいいだろう。

 指示に従う気持ちと考えた方がわかりやすいかもしれない。

 理不尽な言いがかりであっても、それでも言うことを聞いてやろうという心だ。

 それが無くなれば離反になる。

 それが裏返れば、反乱になる。

 当たり前の事であろう。

 だが、えてして人はこの事を忘れる。

 忘れた結果、悲惨な事件を引き起こす。



 今、イエル側の最前線でそれが起こっていた。

 目の前の敵との、結果の出ない不毛な衝突。

 それを繰り返していた理由である援軍の壊滅。

 我慢の理由を失った時、前線にいた者達のやる気が崩壊した。

 そして、上層部の能力を疑っていく。

 敵の襲撃を予期してなかったのかと。

 それを想定するのも無理というものではある。

 前線からかけ離れた地域である。

 そこまで敵が侵入するなど想像するのは難しい。

 普通に考えればあり得ない事である。

 だが、実際にそれが起こり、なおかつ無視できない損害を受けている。

 となれば、その原因やそれを許した理由に文句を付けたくもなる。

 この場合、それが上層部であったという事になる。

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