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335回 全てはこの日この瞬間のため、そして勝利のため、何より敵を蹂躙するため 6

 ここで国境陣地を攻撃していた元遊撃隊長の軍勢は戦闘から解放された。

 数は膨大であるが、激しい敵の抵抗に攻めあぐねていた彼らも、ようやく任務から解放される。

 その後、再編成も兼ねて何日かの休息をとる事となった。

 とはいえ、そこでお役御免になるわけもない。

 数を減らしたとはいえまだ7万ほどの兵力が残ってる。

 9万7000から比べれば大きな減少だ。

 しかし、ゴブリン兵が大半ならばこれくらいの損失は当然ではある。

 本来のゴブリン兵の能力はこの程度であり、標準から考えれば十分許容範囲である。

 実際、大きく数を減らしたとはいえ、彼らの士気は結構高かった。

 負けて当然なゴブリンが、味方の多大な援護があったとはいえ敵陣を乗り越えたのだ。

 多くのゴブリンからすれば快挙である。

 また、犯罪者や追放者・逃亡者達も、この勝利に酔っていた。

 くすぶっていた彼らの人生において、久しぶりの、あるいは始めての快挙である。

 それを喜ぶ者も多かった。

 何より彼らは、休息中に聖女によるお楽しみも得ていた。

「次の戦いにも勝てば、またこれが与えられるぞ!」

というお言葉もいただいている。

 ならばやろうという声もあがるというものだ。



 そんなわけで7万の兵は更に進軍し、敵の後方陣地へと向かっていく。

 そこでも極めて困難な戦闘を受け持つ事になるだろう。

 だが、それを気にするような者はいない。

 彼らの頭には敵陣に攻め込んで勝利を得て、その後に待ってるお楽しみの事しかない。

 辛く苦しいその途中については何も考えてない。

 あるいは、何も考えないようにしていた。

 大変な思いなど嫌というほどしてきた。

 そんな事よりも、楽しいひとときについて考える事の方が彼らにとって重要だった。



 そうして軍勢が敵陣に向かっている頃。

 グゴガ・ル達本隊はようやく休息に入っていった。

 後方陣地に至るまでの間にいる敵はほぼ掃討した。

 当分の間、脅威にさらされる事は無い。

 警戒はしているが、それでも休息をとる余裕はある。

 その間に次の戦いに向けての英気を養っていく。



 一方でソウスケもかなり忙しくなっていた。

 戦闘が主な仕事ではないソウスケであるが、任務の重要性は負けず劣らずだ。

 安全に敵地を動き回れる立場を利用して、敵地に入り込んでいく。

 当然ながら後方陣地の向こう側に潜んでいる。

 そこには、行商人の商会として活動している数百人の人間が。

 加えて、今回の事を見越して潜伏させている異種族連合側の兵隊5000が存在する。

 これらがあちこちでゲリラ活動を行い、輸送部隊を襲撃したり、集落を荒らしたりしていった。

 作っておいた迂回路を通して味方の軍勢を引き込みもする。

 そうする事で敵の防衛陣地を無力化し、敵の後方を蹂躙していく。



 こうして正面からは元遊撃隊長が攻め込んで敵を釘付け。

 その間に大きく迂回して敵の後方に進出するという戦法がとられていく。

 これに対して敵は後手にまわり続け、効果的な対応が出来ずにいた。

 何よりも、軍勢ではなく集落を、民間人を狙われるのがきつい。

 たとえ末端の小さな集落であっても、それらがまとめていくつも潰されてしまったら、今後の社会維持が難しくなる。

 防衛がされてる重要な地点は無事だが、たとえそこが残ってもこれでは意味がない。

 例え小さくても、各集落で作られる産物が人口を支えている。

 社会を支えている。

 それらがなくなれば、現状の維持が難しくなる。

 単純に食料だけでも、生産量が減少する事で、飢え死にする者が出てくる。

 そんな状態が続けば、いずれ嫌でも国力は衰えていく。



 では、そんな敵を叩こうと兵を繰り出しても、これがのらりくらりとかわされる。

 出撃しても敵は既にいないという事が何度も繰り返される。

 では敵を見つけようと偵察を出しても、効果が少ない。

 少数で出せば生きて帰らず、大がかりな兵を出すと、偵察範囲が狭くなってしまう。

 魔術による探索なども併用しているが、状況は芳しくない。

 それでも被害は出ているので放置は出来ない。

 なんとかして敵を制圧しなくてはならなかった。

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