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322回 勝利に勝利を積み重ねるためにやれる事はなんでもやる、それが人道にもとるものであろうと知った事ではない

 戦争が一つ終わる。

 それはこの世界ではさして珍しくもないものではある。

 だが、与える影響は決して小さなものではない。

 ユキヒコ達は勝利と経験を得る事になった。

 今回、新たに試した事がどの程度の効果を持つのかを実際に確かめる事が出来た。

 それは今後につながる貴重な情報として活用されていく。

 一方で敵も、重荷になる者達を処分出来た。

 これにより抱えねばならない面倒を減らし、不要な消費を無くす事が出来た。



 また、勇者の敗北という事態を双方共に受け取る事になる。

 今回の勇者はかなり特殊なものではあるが、それでも勇者である。

 それが負けたという事は異種族連合に歓喜を、女神イエルの信者に絶望を与えていく。

 特に今回は敗北が続いた事で、影響は更に大きなものになっている。

 さすがに連続しての勇者の敗北という事態は珍しい。

 その為、異種族連合側は士気を大きく高める事となり。

 女神イエル側には大きな不安を生むことになる。



 そんなイエル側の社会は大きく動揺していく事になる。

 もとより彼らは大きく領土を、勢力圏を削られた直後だ。

『このまま魔族に蹂躙されるのでは?』

 そういった不安が高まっていく。

 それが世情になり、社会の不安になっていく。

 そうでなくても難民が増大している。

 それらが問題を起こしている。

 そういう身近な不安と接している者達にとっては他人事ではない。

 たとえ同胞といえども、悪さをしている連中は脅威だ。

 何より彼らが最も恐れてるのは、そういった犯罪者化してる難民ではない。

 自分たちもそんな難民と同じ境遇に陥るのではないかという恐怖だ。



 異種族連合によって追い込まれた者達。

 それが難民である。

 侵攻されればそうなる者は増える。

 もしそれが自分たちの所にまで到達したら…………そんなおびえを誰も抱いていった。

 だからこそ彼らは不安を想像させる難民への嫌悪を募らせていく。

 それらもあわれな犠牲者であるのは分かっていても。

 目先の問題として、身近で騒動を起こしてる難民が脅威であるというのもある。

 だからこそ対立は静かに大きく深く浸透していった。

 そして、それを助長してる者もいる。



「まいど」

 挨拶をして商人組合会館から退出する。

 ここ最近、事業規模が拡大してきている由比ソウスケはここに顔を出す事が多くなった。

 組合員にはさすがになれないが、接点は増えている。

 扱う量が多く、販売範囲が広がってるからだ。

 そうなると、より大規模な商売人とのつながりが必要になる。

 販路にしろ何にしろ、それらに頼るしか無い事があるからだ。

 おかげでソウスケは、予想よりも深く敵に食い込む事が出来るようになっていた。



 そんなソウスケが行ってるのは、前線近くの町や村への行商。

 危険な地域だけになり手が少ない。

 その分競争相手も少なく、利益を得やすいという利点がある。

 それでも襲われたらどうしようもないが、その心配もないときている。

 ソウスケからすれば、イエル側が魔族と呼んでる者達は仲間だ。

 そんな彼らに襲われる事は無い。

 山賊などはさすがにその限りではないが、それらもこちらに侵入している魔族/異種族連合の者達が片付けてくれている。

 事実上、国境や前線近くはソウスケの独壇場になっている。



 こうした地域でほぼ唯一動き回ってるだけに、ソウスケの扱う商売は拡大している。

 そして、様々な情報が手に入りやすくもなっていた。

 町や村の内部の様子や、そこの住人達の心情など。

 様々な情報がソウスケの所にやってくる。

 そういったものをまとめて、定期的にソウスケは報告を行っている。

 それらが異種族連合の戦略に役立てる事は言うまでもない。



 それだけではない。

 ソウスケは自由に動き回れる立場と、それによって得た財を使って別の仕事も行っていた。

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