320回 今回の戦争では色々と新しい事を試したりもして得るところが結構あった 2
「考えなおさねばならんか」
今後の軍勢の運用方法をだ。
今までは人を見てこなかった。
部隊に放り込み、使いやすい駒になるように訓練をしていた。
一人一人の資質などを見てこなかった。
そうやって均一の戦力を確保しようとしていた。
だが、今後新しい手段を使っていくならばそうはいかない。
誰がどれに適してるのかを見ていかねばならない。
そうやって選別して部隊編成をしていかねばならない。
種族ごとの特性もそうだ。
ゴブリンでも使い方次第でそれなりの結果を期待出来る。
使い方をあやまれば最悪の事態に陥る。
下っ端、雑用しか出来ないならば、それを徹底させる。
補助戦力にしかならないなら、それを徹底させる。
雑兵しか出来ないならば、雑兵である事を徹底させる。
そうする事で今回は上手くいった。
ならば、そういう使い方に切り替えていくしかない。
今までは敵を遮る壁として前面に配置していた。
それで常に総崩れになっていた。
だが、逆に他の種族によって敵を受け止めれば、ゴブリンも崩れずに戦い続ける。
結果としてそちらの方が損害が少なく、敵への打撃も強く大きくなる。
それを用いないわけにはいかない。
ヨウセンはこの結果をもって、軍の在り方を変更していく。
さすがにすぐに全てを変える事は出来ない。
だが、手の付けられるところから変更を開始していく。
「しかし……」
変更を加えるとして、それが表に出るまで時間がかかる。
その時間を考えるととある事にいきあたる。
ユキヒコが示していた事だ。
それを実行するまでにどうしても時間が必要だと言っていた。
その期限と、軍の変更の終了予定時期がほぼ一致する。
「まさか、これを見越していたのか?」
さすがにそれは無いだろうと思う。
だが、想像を絶する能力を持ってるというユキヒコだ。
それくらい先を見ている可能性も否定できなかった。
そうであるとしたら、恐ろしい智慧である。
そうでないにしても、運の良い男だと思う。
どっちにしろユキヒコの望み通りの展開になってるのだから。
「まあ、それはそれとして」
ヨウセンはユキヒコから提示されてる別件についても考えていく。
そちらは戦闘には直接関係が無い。
しかし、戦争という大きな枠組みではとてつもない影響がある。
ユキヒコが出してきた様々な知識についてだ。




