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319回 今回の戦争では色々と新しい事を試したりもして得るところが結構あった

「上手くいったな」

 その様子を眺めていたユキヒコも胸をなで下ろす。

 最悪の場合、自分も乗り込むつもりでいたが、それはしないで済みそうだった。

 今後、後処理などもしていかねばならないが、それでも危機は去った。

 敵が即座に次の行動に移るというならともかく、そうでないならしばらくは安全のはずである。

(見たところ余力もなさそうだし)

 ユキヒコの把握出来る範囲では、敵に次の攻撃を仕掛ける余裕はなさそうだった。

 実際にどう動くかは分からないが、無理をするつもりがないなら、これで一息つけるはずである。



 ユキヒコの中継で状況を見ている他の者達も同じ考えだった。

「とりあえず、これでどうにかなるかな」

 事の推移を聞いていたヨウセンは一息吐く。

 当面の問題はこれで解決した。

 それも思った以上の成果をあげて。

 もとより烏合の衆と聞いていた敵勢であるが、それでも膨大な数であった。

 相応の損害は避けられないとは思っていた。

 しかし、実際に衝突してみれば、その損害は極めて軽微。

 それでいて敵は壊滅、いや、殲滅に追い込まれている。

 戦闘における勝利を堂々と宣言出来る。

 これだけの結果を出せる事はそう多くは無い。



 また、今回の戦闘で新たに導入された戦法にも注目する。

 ゴブリンの効果的な運用法法。

 遊撃による敵戦力の削り取り。

 これらが上手く働いたのが今回の結果である。

 数だけしか取り柄の無いゴブリンの戦力化は、異種族連合にとって大きな利点になる。

 また、小部隊による敵戦力の減少も魅力的な手段である。

 即座に用いる事にはならなくても、十分に検討する材料になる。

 それも肯定的に。

 それが見られただけでも今回の戦闘には意義があった。



 とはいえ、問題がないわけでもない。

 どれほど戦力化してもゴブリンはゴブリンである。

 今回、とても上手くいったが、それでもゴブリンの上限を知る事にもなった。

 クロスボウによる遠距離攻撃と、鬼人との共同による戦闘。

 即席魔術師など。

 これらを使ってようやく人並みに動けるというだけ。

 工夫を凝らした結果がこれなので、使いどころを考えねばならない。

 更に訓練を施して戦闘力を上げる事が出来れば変わってくるかもしれないが。

 その場合、今以上の手間がかかる事になる。

 時間があればそれで良いだろうが、そうでなければやはり戦力として物足りない状態に留まる事になるだろう。

 特に即席魔術師についてはこの傾向が強くなる。

 結局、相手の足止めがせいぜいなので、単独で動かすわけにはいかない。

 戦力として見ると、不安がつきまとう事になる。



 単独で動かしにくいのも難点だ。

 今回は他の種族との合同で動いたからそれなりの結果は出せた。

 つまり、ゴブリン単体の部隊だと、簡単に蹴散らされる事になる。

 それでも今までよりは良い結果を出してくれる可能性はある。

 しかし、問題は問題のまま残ってると言えた。



 何より大きいのは指揮官の能力であろう。

 今回、遊撃隊は二つ存在していた。

 その一方は優れた戦果を残した。

 しかし、もう一方は結局何の役にも立たずに終わった。

 ひとえに指揮官の違いだろう。

 片方は凡庸な、あるいはそれ以下の結果しか残さなかった。

 それも考慮しなくてはならない。



 少数による単独行動となれば、それなりの能力が求められる。

 それは軍勢の一部として動くものとは別になる。

 自分で考えて全てを動かさねばならない。

 言ってみれば、小さいながらも将軍としての、主人としての能力が求められる。

 使用人としての能力ではない。

 使われる側としてどれほど優れていても意味が無い。

 使う側としての能力が求められる。

 今回、結果を出せなかった指揮官の方は、まさに使われる側の能力しかなかった。

 自分で考えて行動出来ない、そもそも今まで求められてもいなかった。

 そこが明暗を分けた。

 もちろん、知識や経験も足りなかっただろうが、より深い部分、根本的な所の問題の方が大きい。

 この部分をどうにかしなければ、遊撃による敵の漸減は難しくなるだろう。

 捨て駒として小部隊を運用するならともかく。

 繰り返し敵に攻撃を仕掛けていくならば、そうはいかない。



 それでも、選択肢が増えた事はありがたい。

 問題はあるにしても、使える方法が無いよりは良い。

 だいたいにして問題というのはどこにでも潜んでいる。

 それを理由に避けているわけにもいかない。

 対策をして処置をして、それで上手くやっていけるようにしていくしかない。



 少数部隊の使い方。

 ゴブリンの運用法法。

 これが今回の目玉であろうか。

 少数部隊は可能な限り優れた者を使うしかない。

 ゴブリンはやはり下っ端として使うしか無い。

 誰も彼もが少数で動けるわけではない。

 ゴブリンは比較的簡単な仕事に従事させるしかない。

 そうしておけばそれなりの結果を期待出来る。

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