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315回 数はともかく質において双方問題を抱える軍勢が衝突していく 8

 陣地は敵の攻撃がやってくる方面への防備は硬い。

 しかし、それ以外の面は比較的出入りが簡単だ。

 敵を蹴散らしていく別働隊は、そんな陣地に簡単に入場していく。

 そして、そこを拠点に立てこもる。

 兵力分散になってしまうが、敵を二分する事にもなる。

 そちらに敵を引きつけて、第三陣への攻勢をゆるめるのが目的だ。



 狙い通りに敵は第二陣に再び籠城した異種族連合にも向かっていく。

 まだ第二陣にもたどり着いてなかった敵勢も含めて。

 それらを引きつけながら、第二陣に立てこもった別働隊は防戦を始めていく。

 その間に第三陣はいくらか減った敵を撃退していく。

 それが戦場に隙間を作っていく。



 敵の攻勢がゆるんだ事で、防備に割く人員を減らす事が出来る。

 それを利用して引き抜いた兵力で更なる別働隊を編制する。

 それはやはり敵の横から突撃し、敵を粉砕していく。

 呼応して第二陣に立てこもっていた別働隊も外に出てくる。

 彼らはそのまま第三陣に向かっている敵に向かっていき、これを殲滅していった。

 背中を見せる形になっていた敵は、いいように切り捨てられていく。

 そうして第三陣にとりついていた敵は粗方潰されていった。



 異種族連合、1万8900。

 勇者の軍勢、2万9800。

 数の差は更に減っていく。

 このまま状況が進めば、敵は確実に潰えていくだろう。

 そう思わせる戦況である。

 戦力差はまだ存在するが、勇者側の減り方が著しい。

 このままいけば、この差は逆転し、やがては消滅するであろう。

 それを阻止して覆す手段もないままに、勇者側はいたずらに兵士を失っていく。



 それをあらわすように、戦場がまた動いていく。

 一度は第三陣まで後退した異種族連合だが、それらが第二陣に再び終結し始めている。

 機動力のある別働隊が両者の間を行ったり来たりして敵を潰している。

 そうする間に、第二陣に腰を据える部隊も出てくる。

 敵を押し返す形になった異種族連合は、迫る敵を次々に倒していった。



 だんだんと薄くなる軍勢。

 それを見てもなお勇者タツハルは前進命令を繰り返す。

 それしかないとはいえ、その芸のなさが兵力を、命を次々に消散させていく。

 だが、タツハルも例外では無い。

 進めと命じるタツハルもまた、最後尾で指示を出しながら前進をしている。

 彼もまた与えられた使命に従い敵に向かっていくのに変わりは無い。

 いずれは倒されるだろう。

 末端の一兵士ではなく、全体を指揮する勇者として。

 この点において両者に違いはない。

 早いか遅いかだけだ。

 それを恐れる事も無くタツハルは前だけを見ている。

 前だけしか見ていられない。

 そんなタツハルに向かって、背後からの一撃が加えられていく。



「行くぞ」

 周りにいる者達に聞こえるように声を張り上げる。

「おう!」

 呼応する叫び。

 総勢2000の軍勢がそれに従っていく。

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