表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
311/428

311回 数はともかく質において双方問題を抱える軍勢が衝突していく 4

「進め!」

 指揮を執る、この軍勢を率いるタツハルもそう叫ぶ。

 それは状況を見通してのものではない。

 戦術的な意味があるというわけでもない。

 ただひたすらに前進を命じる。

「敵にかかれ!」

 それだけを馬鹿の一つおぼえのように繰り返す。

 それがどれほどの被害をもたらすのか。

 どれほどの効果を得るのかなども考えずに。



 そもそも考えがない。

 タツハルは優れた才能があるわけではない。

 ごく普通の平民庶民として生まれて生きてきた。

 それだけの人間である。

 たまたまイエルに声をかけられ、勇者になっただけの存在だ。

 即席である程度の教えは受けても、それらを身にしみこませてるわけではない。

 そんな者に状況を把握して的確な判断を下す事を求める事は出来ないだろう。

 だから、同じ事を繰り返すしかない。

「進め!

 敵を倒すんだ!」



 その声に従って、あるいはイエルの奇跡によって軍勢は進む。

 自分の意思など全く無くして。

 その様はまさに生きる屍、命じられるままに動くゾンビそのものだった。

 死んではいないが、実態はゾンビというしかない。



 しかし、それ故に恐ろしいものもあった。

 馬鹿の一つおぼえのように。

 何の変哲もない前進であるだけに。

 策略など何もない単純で単調な行動なだけに。

 それだけにひたむきさがあった。

 それはそれで力を生み出していく。



 数を頼んでの突進というのは、それだけでも相当な力を持つ。

 損害も大きいが、それをいとわなければ立派な戦法ではある。

 相手の策謀や小細工をものともしない、ただひたすらに相手に迫っていく。

 それは相手を蹂躙する事が出来る。

 それを実行できるだけの数があれば。

 この際、質は問わない。

 十分な訓練や教育を受けた兵士でなくても良い。



 その数が、勇者の軍勢にはある。

 四万を越える数というのは、それだけで力になる。

 それが一斉に襲いかかれば、相手も無事では済まない。

 異種族連合が相手にしてるのは、そんな連中だった。



 最前列から粉砕されながら。

 途中で転んだ味方を踏みつけながら。

 それでも前進を続ける敵。

 それに対して異種族連合は少しずつ後退していく。

 堀を越えられ、土嚢の壁をのぼられ。

 それらを越えて更に敵は迫ってくる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


_____________________

 ファンティアへのリンクはこちら↓


【よぎそーとのネグラ 】
https://fantia.jp/posts/2691457


 投げ銭・チップを弾んでくれるとありがたい。
登録が必要なので、手間だとは思うが。

これまでの活動へ。
これからの執筆のために。

お話も少しだけ置いてある。
手にとってもらえるとありがたい。


_____________________



+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ