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307回 観戦しながらも中継して話し合っている

「がんばってるねえ」

 遠視でその様子を見てるユキヒコは笑いながらそう言った。

「手駒になってよく頑張るよ」

 勇者に率いられてる彼らを見ての感想だ。

 実際、捨て駒として扱われてるのが見え見えで笑うしか無い。

 そうと知ってか知らずか、うつろな目で黙々と歩んでる軍勢には哀れさすら抱く。

 だからと言って救ってやろうとは思わない。

 むしろ、良いように利用されてる愚かさを嘲りたくなる。

「騙されてるうちはそんなもんなんだろうけど」

 それが崇拝や宗教の力なのだろう。

 あるいは、信じた事を疑いたくないという心理のなせるわざか。

 どちらにしろ、自分というものがそこにはない。

 他の誰かの言いなりになってるだけでしかない。

 なんでもかんでも逆らえばいいわけではないが、信じてばかりというのも情けないものだ。



「でも、こうやって返してくるとな」

 あらためて軍勢を見ていて思う。

 少しでも負担にしてやろうとまともに動けなくして送り返してやっていたが。

 それが再び送り返されてきた。

 こうなってくるとやり方を変えた方がいいのかと考えてしまう。

 なのだが、

「いいか、別に」

 送り返してくるなら、それはそれである。

 手元に置いておくわけにもいかない連中である。

 イエルの僕であった連中だ、支配下においても、いつ反乱をおこすか分からない。

 そんな危険な連中を抱えておくほうがよっぽど危険だ。

 それならば、一時でもいいから自分らの足下から消した方がいい。

 その後攻め込んでくるなら、それはそれである。

 その時に殲滅すればいい。



 送り返してくるにあたり、相手もそれなりの負担をするのも見逃せない。

 イエルは奇跡を授けて勇者を作らねばならない。

 それが無いにしても、軍勢としてまとめる労力を敵側は費やさねばならない。

 軍勢の維持のための食料や物資も使わねばならない。

 それらを最低限で済ますにしても、相応の負担を追わねばならない。

 それを考えれば、一旦は敵に送り込んだ方がマシだ。



 それで攻め込まれたら迎撃の手間はかかる。

 しかし、手元に置いておいても、全員処刑する事になる。

 それが早いか遅いかの違いがあるだけだ。

 やる事は結局変わらないなら、少しでも相手に負担を強いた方が良い。



(対応も問題なく出来そうだし)

 遠巻きに見ていた邪神官達の動きは悪くない。

 必要な措置を次々にうっている。

 それを見る限り、最悪の事態は避ける事が出来そうだった。

(数では負けてるけど、どうにかなるな)

 その為の防備を作り上げている。

 そこで迎撃出来るなら負けることはないだろう。

 問題なのは損害がどれだけになるかだ。

 出来るだけ少ない方がいいのだが、こればかりはやってみるまでどうなるか分からない。

 ある程度予想は出来るが、確実な事は言えない。

 未来を知るのは、今のユキヒコにとっても不可能な事だった。



 それでも悲観はしてない。

 そこまで悲惨な事になるとは思えないからだ。

(なんとかなるだろう)

 それがユキヒコの考えだった。



(それよりも)

 目の前の問題よりも自分の事である。

 能力を拡大強化して今日も様々な事を考えていく。

 今や自然の仕組み、宇宙の在り方まで感覚でとらえる事が出来る。

 それらから更に何かを探るために意識の手足をのばしていく。

 そして考える。

 何がどうなって成り立ってるのかを。

 そうする事でより深く世界の有り様を知ることが出来る。

 より重要な深淵に到達出来そうな気がする。

 そこを目指して意識を集中させていく。

(もっと強くならないと)

 神や世界を相手にしようというのだ。

 力はどれだけあっても足りない。

 それを求めて、ユキヒコは世界に満ちる気の流れを追っていく。

 それがいかなるものかを解明しながら。



 そうは思いつつも、ある程度の介入はしていく。

 グゴガ・ルに、ソウスケに、邪神官に。

 そして、後方のヨウセンに。

 手にした情報をもとに様々な事が決まっていく。

 それがまとまると、ユキヒコは再び静観に入っていった。

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