301回 もう一つの遊撃隊、その活躍と結果 2
痛いのは損害だけではない。
その分の補充がなされないというのも加わる。
兵力に余裕の無い事もあり、消耗した戦力の補充はされない。
その事が、補充を要請した遊撃隊に届けられる。
「何を馬鹿な!」
遊撃隊の指揮官達は口々に非難をあげる。
「これでどうやって戦えと?!」
自分たちのしでかした事に気づいてないのか無視してるのか。
それらを棚上げして、補充をしない司令部に不満をぶつける。
だがこの場合彼らの方が問題だろう。
経験が少ないというのは同情するが、手際の悪さは弁解しがたいものがある。
奇襲を仕掛けたのは悪くないが、その後の動きは褒められたものではない。
その結果、大きな損失を出している。
そんな所に貴重な兵士を補充できるわけがない。
多少は戦果をあげはしたが、それもグゴガ・ルの方の遊撃隊に劣る。
損害を出さず、敵兵2000を倒した。
どちらが優れてるかは一目瞭然だ。
それに比べれば、もう一つの遊撃隊があげた戦果などとるにたらないものと言えた。
結局、補充要請は何度もされるが、その全てをすげなく却下されていく。
余裕が無いのだから現有兵力でどうにかしろと。
それはそれで無茶な話だが、それもやむをえまい。
実際、余裕は無い。
それなのに損失の大きい方の遊撃隊を支援する必要性がない。
どうしてもやるなら、グゴガ・ルの方を助けた方が無難だ。
邪神官を筆頭とした司令部の意見はそういったものに固まっていった。
だが、この別働隊の奇襲が全く意味が無いというわけではなかった。
夜中だけでなく日中でも襲われると感じた勇者の軍勢は、昼間も警戒をする事になる。
その為、行軍は更に遅れていった。
これにより異種族連合はわずかではあるが時間を手に入れる事が出来た。
その時間で敵への防備を構築していく事が出来る。




