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300回 もう一つの遊撃隊、その活躍と結果

「突撃!」

 威勢良く突進していく遊撃隊の片割れ。

 それらは森の中に身を隠し、そこを通る道に沿って展開していた。

 そこを歩くには、部隊を長く細く伸ばすしかない。

 狙うならば最善の場所だろう。

 その狙い通り、襲われた部隊はろくに抵抗も出来ずに倒されていく。

 だが、そういう所で狙われる事は敵も承知している。

 襲われた瞬間こそ戸惑うが、即座に対応もされていく。



「敵襲!」

「敵襲!」

 襲われた者達が、その前後にいた者達が声を上げていく。

 それはすぐに前後に広がっていく。

 そして、こういう時の為に備えた動きをしていく。

 襲撃された部隊の救援────ではない。

 それをするには道が狭い。

 押し寄せても混乱するだけである。

 そうではなく、敵を包囲するように動いていく。

 森の中に入っていき、円形に敵を取り囲もうと。

 襲撃側の遊撃隊の一部もその動きに気づいていく。

 だが、それは部隊の末端に限られる。

「敵が動いてる!」

「後ろに回ってるぞ!」

 そんな声が上がる。

 だが、部隊指揮官まで伝達はされない。

 叫んでるだけで、伝令が動いてるわけではない。

 それを出す事も失念している。

 このあたり、遊撃隊の経験不足が出ていた。



 加えて、森の中というのが悪く働く。

 移動が阻害されるのは敵だけではない。

 味方もそうだし、そこには伝令も含まれる。

 まともに動くことが出来た数すくない伝令は、このために平地よりも動きを大きく阻害されていた。

 この為、対応が遅れる。

 もっとも、伝わったところでまともな対応が出来たかどうか。

 その時、遊撃隊の指揮官も戦闘に参加し、敵と競り合ってる最中だったのだから。



 指揮官自ら前に出る。

 それは理想ではあるだろう。

 少なくとも、後ろに控えてあれこれ指示するよりは部下に支持されるかもしれない。

 だが、実際にこれをやると様々な問題が起こる。

 指揮官も戦闘に参加するから、全体への指示が出せなくなる。

 指示を出したり、状況報告を受けようにも、そんな余裕がない。

 何より、居場所が変わるので、伝令がどこに行けばいいのか分からなくなる。

 このため、指揮官は可能な限り安全な場所にいる事が望ましくなる。

 無線通信があるならともかく、そうでない場合には居場所が分からないというのは致命的だ。

 特に即座に指示が必要な場合は。

 この時の遊撃隊は、まさにそういう状況になっていた。



 勇者の軍勢も動きが鈍い。

 しかし、遊撃隊も似たようなものだ。

 指揮系統・伝令がしっかりしてない。

 このせいで全体の動きがどうしても鈍くなる。

 次に何をするべきなのかという指示がなかなか届かない。

 そもそもとして、周囲の状況把握が為されていない。

 その為に次に何をするべきかの判断も出来ない。



 結果、どちらも無駄に消耗していく。

 奇襲によって最初の一撃を加える事が出来た遊撃隊もだ。

 最初の一撃でうまく離脱出来れば良かったのだが。

 敵との戦闘に突入してしまったが問題だった。

 そのせいで、逆に敵に包囲されつつある。

 だが、そこで周囲の状況を察した指揮官が指示を出す。

「撤退、撤退!」

 その声が周囲に伝わっていく。

 まだ包囲が完成する前に遊撃隊は、どうにかその場から逃げ出しはじめる事が出来た。



 だが、未完成とはいえ包囲がされつつある。

 そこから逃げ出すのは難しい。

 しかも、ここでも伝令の動きが鈍くなってしまうのが響いてくる。

 指示が行き渡らず、末端の部隊はその場に取り残される形になる。

 他が動いてるのを見て慌てて追いかけるが、それも遅い。

 まして目の前の敵と戦っていた者がほとんどだ。

 それらを振り切るのも難しい。

 結局、末端に居た者達が敵に捕まり倒されてしまう。

 最終的に撤退は成功するが、損害もかなり出てしまった。

 この奇襲による損害は30人になる。

 総勢400人の遊撃隊にとっては馬鹿にならない損失だった。

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