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291回 同じ部隊であっても、体験や経験を共有してるわけではない 3

「やれやれ……」

 呆れるグゴガ・ル。

 言いたいことは分かるが、軽い調子でそんなことを言う連中に何を言えばいいのか分からない。

 だが、頼もしい連中ではある。

 良い意味で腰抜けだ。

 その根性のなさがありがたい。

「それじゃ、俺たちゴブリンの手が届かない所を頼む」

 そう言って協力をあおぐ。

 周りの連中は、

「任せておけ」

「こっちこそ頼りにしてるぞ」

「お前らなら安心出来る」

 そんな事を返していく。

 いずれもグゴガ・ル達への評価がそう言わせている。



 今までであればありえないような言葉だった。

 戦力として頼りにならないのがゴブリンなのだから。

 その能力の低さもそうだが、何より戦力としての信頼性・信用度がない。

 相手が強いと分かれば即座に逃げ出すのがゴブリンだ。

 それらを頼るのは危険である。

 だからこそゴブリンを軍勢に組み込み時には、存在しないものとして見る者が多かった。

 一緒に来ている者達も、基本的にその考えは持っている。



 ただ、相手がゴグガ・ル達だと話は変わってくる。

 ユキヒコが来てからだが、ゴブリンは変わった。

 仕事をさぼる者は削られ、誠実に仕事をこなす者が残ったせいもあるだろう。

 その為、ゴブリンの逃亡率は減った。

 敵が強くても踏みとどまる者が増えた。

 その代表がグゴガ・ルのような古参だ。



 ここにいるのは、どれもこれも長く一緒にやってきた連中だ。

 少なくともユキヒコがやってきてからは行動を共にする事が多い。

 戦場で肩を並べてきた戦友と言える。

 だから彼らにはグゴガ・ルらが今までのゴブリンとは違うと感じていた。

 ゴブリンとしては能力が高いというのもありがたい。

 しかし、そんな事よりも心や気持ちの部分の違いが大きい。



「お前らは絶対逃げないからな」

 これが一番大きい。

 すぐに逃げるような奴では戦力にならない。

 だが、踏みとどまって戦うならば、背中を預ける事が出来る。

 この違いは大きい。

 前から来る敵だけ気をつけてればよくなる。

 これが逃げ出されてしまったら、右や左、そして後ろに敵がまわってくる事になる。

 そうなったらおしまいだ。

 だから、踏みとどまってくれる者は、それだけでありがたいものだった。



 ましてそれがゴブリンならば、大きな意味を持つ。

 最も弱く、最も多いのがゴブリンである。

 数だけならば他の種族を圧倒するのがゴブリンである。

 それらが踏みとどまってくれるなら、それだけで大きな戦力になる。

 そのことを一緒に来た者達は骨身にしみるほど実感していた。



 今回も遊撃隊の半分はゴブリンである。

 そのゴブリンが一丸となって動くなら、これほど頼もしいものはない。

 数の上では間違いなく主力なのだ。

 その主力が信頼出来るなら、これほどありがたい事はない。

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