282回 思ったよりも早い勇者投入 4
「400くらいだ」
遊撃隊の人数である。
その数にグゴガ・ルは渋い顔をする。
「それじゃさすがに──」
「無理だろうな」
言わんとするところをユキヒコは汲み取っていく。
「これだけで単独行動するとなると無理がある」
「分かってるのか」
「そりゃあね。
いくら何でも、この数じゃどうにもならないのは分かってる」
「それでもやれと?」
「やってもらわなくちゃならん」
悲しいが、これが現実である。
「だが、どうやって」
気持ちは分かるが戦果を期待出来る兵力ではない。
そう考えるグゴガ・ルに、
「その代わり、援護をつける」
この部隊を最大限に使い倒す為の考えをユキヒコは示していく。
単純に遊撃隊だけで行動するとなると、色々足りなくなる。
一番の問題は食糧などの物資だ。
これらも遊撃隊が持って行くとなると、様々な問題が発生する。
荷物が増える分、移動速度が落ちる。
それでいて、持ち運べる量の限界から、それほど長期の活動が出来ない。
それを解消する為に、援護部隊をつける事とした。
具体的に言えば、輸送部隊である。
遊撃隊と言っても本当に単独行動するわけではない。
活動の支援をする部隊を伴っても問題は無い。
むしろ、それは必要不可欠であろう。
食料などの物資を運び、時に遊撃隊を移動させる部隊。
それらを配置する事で、遊撃隊の負担を極力減らす。
武装以外の荷物を減らし、移動速度を可能な限り向上させる為に。
このため遊撃隊の中で全てをまかなう必要がなくなる。
400人全員が戦闘に参加出来る者となる。
言い方を変えれば、遊撃隊は400人だけというわけではない。
後方支援を含めた様々な部隊が参加する事になる。
それらを含めれば、800~1000人くらいの大所帯となる。




