281回 思ったよりも早い勇者投入 3
「遊撃隊を作って、そいつらに暴れ回ってもらうしかないな」
結論は至って単純なものになる。
「進軍してくる連中を受け止める壁を作る。
そこに来る途中でいたずらを仕掛けていく。
それっきゃねえだろ」
正面からの殴り合いを極力回避して、可能な限り敵を混乱させる。
そうして相手に消耗を強いて、戦闘力を減退させる。
そうなったところで戦闘に突入。
「それしかねえだろ」
今までやってきた事の繰り返しではある。
敵との正面衝突を極力避ける。
そして、敵の後方である村や町などを遅い、生産能力を奪っていく。
ついでに補給や補充も。
そうして相手を引っ張り回し、混乱させ、少しずつ干からびさせていく。
それを攻め手で行うか、守り手で行うかの違いがあるだけだ。
その要になるのは遊撃隊。
あちこち移動をして敵を翻弄する者達だ。
今までであれば、村や町を襲う者達にあたる。
だが今回の場合、襲う相手が一般人ではなく戦闘員である。
相応の能力を持つ者でないと務まらない。
しかも、それなりの人数が必要になる。
小規模な部隊では、ちょっかいをかけた瞬間に敵の大軍に潰される。
そうならずに任務を全う出来るだけの能力がある者達が必要だった。
「そういうわけで頼む」
「まあ、そういう事なら」
呼び出されたグゴガ・ルは、そう言うとため息を吐き出した。
「面倒な事になってるな」
「そうだ。
だからお前に頼むしかない」
「言ってくれる」
言い草に笑うしかなくなる。
「認めてくれるのはありがたいが、それでこんなのを押しつけられちゃね」
「言わないでくれ。
俺だってこんな面倒なのやらせたくない」
「よく言う」
「本当だ」
「はいはい」
適当にいなしていくグゴガ・ル。
「それで、誰と一緒に行けと?」
肝心な部分を聞いていく。
移動しながらの攻撃を旨とする遊撃隊。
それを実行するには、相応の能力を持つ者達が求められる。
当然ながら、そんな人材があふれてるわけもない。
どうしてもその人数は限られたものになってしまう。
また、遊撃隊だけに人員を割くわけにもいかない。
敵を受け止める防衛部隊にも人は必要だ。
そちらにも人を割かねば、戦う前に部隊が崩壊する。
その為、遊撃隊の数はかなり控えめになってしまう。




