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267回 対抗手段があっても面倒なのが変わるわけではない勇者という存在 2

 イエルが新たに選んだ勇者達。

 それらは教会に集められ、勇者としての訓練を始めていく。

 これが貴族などの出身者であれば、これらを大分省く事が出来る。

 軍や義勇兵、教会にいた者もだ。

 ある程度の訓練や教育を受けてるから、新たに何かをおおぼえる必要がない。

 イエルに選ばれてから短期間で出陣・出撃が出来る。

 しかし、全員がそうであるわけではない。

 中には農夫や労働者など戦闘とは何の縁もない者もいる。

 そういった者達が何故かイエルに選ばれて勇者となるのだ。

 いきなり戦場に放り出すわけにもいかない。

 ある程度の訓練は施さねばならなかった。

 それもイエルがもたらす奇跡で、訓練期間は大幅に短縮は出来るのだが。

 何も身につけさせないでいるわけにはいかなかった。



 また、訓練期間は聖女との合流までの時間を埋めるという意味もある。

 勇者が先か聖女が先かはともかく、その二人を巡り合わせねばならない。

 そのための時間がどうしても必要になる。

 教会や統治者側の都合としては、士気を鼓舞する為の宣伝期間も欲しい。

 新たな勇者登場というのは、それだけ大きな出来事なのだ。



 しかし、今回の勇者は少々違った。

 大半はこれまで通りな者達なのだが、一部は違う。

 その一部がユキヒコ達の予想外の行動をとっていく。



 小森タツハルはそんな勇者の一人である。

 彼はユキヒコ達に襲われた者達の中にいた。

 どこにでもいるごく普通の農夫だった。

 成人前の14歳で、これから部屋住として人生を送る事になっていた。

 幾分やる気のある性格のタツハルは、ならばと思いその先の事を考えていた。

 次男であるので家にはいれるが、そのままなら家の使いっ走りで終わってしまう。

 兄に何かなければ家を継ぐ事もない。

 そんな立場に甘んじるくらいならば、と考えていた。

(軍に入ろう。

 それが出来なくても義勇兵になろう)

 そこならば食いっぱぐれる心配は無い。

 上手くいけば出世出来る。

 その可能性に賭けようと考えていた。

 そのまま家にいても、冷や飯食いで一生を終えるのならばと。

 しかし、その考えを実行にうつす前に、異種族連合/魔族に襲われた。

 命を失う事は避けられたが、片目と片耳、片腕と片足を失った。

 生きてはいるが、活きてはいない。

 そんな風にさせられて放逐された。

 その後は他の皆と同様にまだ安全な地域に向かって歩いていった。



 イエルの声を聞いたのは、なんとか落ち着いてからである。

 生まれ育った村を追い出され、最寄りの町から追い出された者達と合流し。

 更には市街、そして県都と行く先々の全てが異種族連合/魔族に潰されてるのを横目に見て。

 それでも死にたくなくて、生きていける場所を求めて歩き続けた。

 その果てにたどり着いた、新たな国境地帯の難民収容所。

 申し訳程度の屋根がそこかしこにこしらえられた場所で、タツハルは声を聞いた。

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