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257回 新しい戦闘方法とまではいかなくても、試す価値はある

「早速、指揮下の部隊で実験的に運用を開始した。

 鬼人族部隊にゴブリン部隊をつけて動かしている。

 問題はあるが、概ね上手くいっている」

 異種族同士を混成させるのは難しい。

 種族ごとの考え方や気質の違いなどがある。

 また、どうしても発生する能力差もある。

 それを混ぜるのだ、無理がどうしても発生する。

 これがあるから、異種族同士の混成部隊というのはありえなかった。

 だが、それも使い方次第、やり方次第で有用性を出そうとしている。

「やってる鬼人からは、こいつらは使えない。

 ゴブリンからも、威張り散らしてるという報告は上がってるけどな」

「そればかりはしょうがないな」

「それでも戦闘の時には互いに援護し合うような形になってるらしい」

「それが出来るだけでも儲けものだ」

 日頃の仲の悪さなどは、戦闘における強さで目をつむるしか無い。

「心労や苛立ちはたまるだろうけど」

「その対策もしておかないと」

 やる事は増える。

 しかし、戦場における戦力の増大の為ならばやむをえない。

 それでも負担が大きいならば、元に戻すしかない。

 しかし、効能が大きいならば対策を施しながら続けていく。

 出費が帳尻のあう範囲ならば、対策に割く費用や労力は割に合うものだ。

 何せゴブリンが戦力になる。

 敵が押し寄せてきても崩れない、逃げないでいるように。

 迫る敵を粉砕する鉄槌のように。

 そうする事が出来るなら、多少の労力は惜しくは無い。

「やっていこう。

 色々と悩んだり迷う事もあるだろうけど」

「そのつもりだ」

 イビルエルフは力強く頷く。



 それだけ切羽詰まってもいた。

 現状で、この方面を防衛する兵力は少ない。

 その中で、主力となるのは数が多いだけのゴブリンである。

 それはつまり、敵が迫れば逃げだし、ぶつかれば粉砕される危うさを持ってるという事になる。

 それを少しでも食い止められるならば、これほどありがたいものはない。

 数少ない戦力を、更に割り引いて考える必要がない。

 戦力を戦力として計上出来る。

 それがイビルエルフにはありがたいものだった。

 数すくない戦力を十全に活かす事が出来る。

 そのためならば、多少の労力は小さなものである。



「あとはこの領地が軌道にのればいいが」

「まだまだ時間は必要だな」

 農地が再び作物を実らせるようになるまで。

 物資がそこかしこを行き交うようになるまで。

 税収があがり、支援なしで動けるようになるまで。

 まだまだ時間が必要だった。

 とりつけた約束で支援は今後も続くだろうが。

 それでも、体制がととのうまでは時間が必要になる。

「どうにかして時間が作り出せれば」

 ぼやくイビルエルフを見て苦笑する。

 誰も彼も考える事は同じだ。

 もうすこし時間があれば…………今ここにいる者達のほとんどがそう思ってる事だろう。

 少しでも早く状態を改善して、敵に対抗するために。

「まったくだ」

 同調しながらユキヒコは敵地の方に目を向ける。

「あいつらも」

「ん?」

「あっちの連中も、同じように焦ってくれてるといいんだが」



 体制をととのえる為に時間がほしい。

 それはユキヒコ達の切なる願いである。

 だが、敵も同じように考えているならば。

 同じように敵も体勢を崩してるなら。

 それはこちらにとっては好機である。

 敵もこちらに敗北し、様々な問題を抱えてるはず。

 その問題がこちらよりも大きく、元の状態への回復に時間がかかるなら。

 それは異種族連合/魔族にとっては好機である。

 ただ、それがどの程度なのかは分からない。

 損失はそれほどでもないのか。

 回復にはさほど時間はかからないのか。

 情報が足りないので、そこがまだよく分からない。



(最悪、直接見に行くしかないか)

 ユキヒコの能力なら、直接敵地に赴いて様子を探る事も出来る。

 どんな秘匿情報も、相手の心や頭を読めばどうとでもなる。

 そうすれば、敵の現状はすぐに分かる。

 だが、そのためには時間が必要だった。

 それだけの時間をかけるのは得策では無い。

 現在、ユキヒコを中心にして動いてる物事が多々ある。

 そんな状況でユキヒコが持ち場を離れるわけにはいかなかった。

 ある程度自立的に動けるようになるまでは。

 それまで、たとえお飾りでも中心になる者は動いてはいけない。

 動くにしても、すぐに連絡のつく場所にいなければならない。

 でないと、報告や連絡が出来なくなる。

 全ての情報は、中心人物であり司令塔にやってくるのだから。

 それを受け取る者がいなければ、全体の動きに悪影響を出す。

 中心となる人物は、とにかく動かない事が重要になる。

 そのため、今は下手に動く事は出来なかった。

(ソウスケに頼るしかないか)

 今は彼に任せるしかなかった。

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