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252回 自分達の事はどうにかなっても、相手まではどうにもならん

 自分たちの動きは自分たちでどうにか出来る。

 全てがそうだとは言い切れないが、それでもある程度自分たちの意思で物事を動かす事が出来る。

 しかし、敵の動きだけはどうにもならない。

 国境というか最前線というか。

 その向こう側にいる連中は思い通りにはならない。

 その敵がにらみ合う最前線を超えてやってきたら、この地域は混乱に陥る。

 折角順調に動き始めた村や町が壊滅する。

 それはなんとしても避けたい。

 しかし、自分たちではどうする事も出来ない事である。



「相手の体勢がととのってないのが幸いだな」

「だが、それがどこまで保証になるか分からん」

 ユキヒコの言葉にイビルエルフが胸に抱く不安を口にする。

「普通に考えれば、この状況で前に出るなんて事はしないだろう。

 だが、奴らは魔女イエルの狂信者だ。

 何をしでかすか分からん」

 それを聞いてユキヒコは、なるほどなあと思った。

「俺たちはそういう風に見られてるのか」

 元々イエル側の人間だったユキヒコには、そういった評価が意外だった。

 だが、敵からすればそう言いたくもなるのだろう。

 外から古巣を眺めると、ユキヒコですらそう思えるような行動をとる事がある。



 その原因は、なるほど確かにイエルが絡んでるものもあった。

 特に教会や勇者などは、『女神イエルの託宣があった』などと称して無茶な出兵を行う事がある。

 それが上手くいく事もあれ、失敗に終わる事もある。

 だが、どちらも勇者と聖女の圧倒的な力で、問題をねじ伏せていた。

 少しくらいの不利は与えられた奇跡で覆し。

 どうにもならない状況でも、持ってる奇跡を使って最悪の結果を回避していた。

 なのだが、それらも最初から何もしなければ、そこまで追い込まれる事もない。

 やらなくて良いことに首を突っ込み、使わなくても良い奇跡を消費する。

 彼らがやってるのはそういう事だった。

 それでも、何かしらの意味があるならまだ良い。

 しかし、得られる成果は出してる損失に見合うものではない。

 無理や無茶を重ねて徒労を得るような事が多かった。

 そういった事を振り返ると、イビルエルフの台詞にも頷くしかない。

「警戒するにこした事は無いか」

 何をしでかすか分からない。

 それが警戒心をもたせていく。



「ひっかきまわす事が出来ればいいんだが」

「あいにくとそこまでの工作は難しい」

 内部に浸透する工作員を使った活動。

 それも考えてはいるのだが、現状では不可能だった。

 組織もまだ出来あがってないし、影響力もない。

 最大の目的である情報収集も、今はまだ求める水準には達してない。

 少しずつ拡大拡張はしてるが、敵を内部から動かす程では無い。

「動きを察知するので精一杯だ」

 それすらもなかなか難しいものがあった。

「祈るしか無いな。

 こっちがととのうまで、向こうが何もしないように」

「やむをえんか」

 納得は出来ないが受け入れるしかない。

 どうする事も出来ないのだから。

「最悪、何かあったら俺が出るよ」

 それだけが唯一の手段であった。

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