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251回 異種族四方山話

 ゴブリンは女が少ない。

 男女比率でいくと、男が10人に対して女3人くらいだという。

 どうしても男があぶれるようになっている。

 そのため、ちょっとやそっとの功績では相手にもされない。

「せめてもうちょっと出世しないとな」

 一人で首級を多数あげるとか。

 あるいはより大きな部隊を率いるとか。

 一般人ならば並以上の稼ぎをあげるとか。

 そうでないとゴブリン同士の結婚など出来るものではなかった。



 ただ、これもゴブリンという種族を考えると致し方ないものもある。

 他種族より能力が劣るゴブリンは、それだけ死にやすくもある。

 なので、生産活動に従事する男はなるべく多く生まれた方が都合がいい。

 もちろん、狩猟や戦争に従事しない場合はそうそう死ぬものでもない。

 だが、この戦乱の時代、どうしても男の死亡率は高止まりする傾向にある。

 特にグゴガ・ルのように最前線勤務だとどうしても死ぬ可能性があがる。

 それを考えるとこれくらいの男女比率で丁度よくなる。



「おかげで同族の嫁取りなんて、夢のまた夢だ」

「それじゃどうにもならないか」

 いくらユキヒコがどうこうしようと思っても、そういう事情があるならどうにもならない。

 凄まじい能力を発揮する事が出来ても、世の中全てを思い通りに出来るわけではない。

「じゃあ、こいつらで我慢するしかないか」

「残念ながらな」

 転がってるフユキとユカリに目を向ける。

 二人も人間族ではかなりの美人ではある。

 だが、グゴガ・ルからすれば異種族であり、どうしても同族より見劣りする。

「もったいない……ってのは、人間の俺の感想だな」

「そうなんだろうな。

 ゴブリンからしても、まあ美人だとは思うんだが」

 それでも同族がいいというのは種族としての本能だろう。

「でもまあ、とりあえずこれで楽しんでてくれ。

 子供も作れるんだし」

「折角の好意だ。

 そうさせてもらうよ」

 好みからは少し外れるとはいえ、おかえしする理由は無い。

 貰えるものはありがたく貰えばいい。

「じゃあ、頑張ってくれ」

「帰るのか?」

「ああ、お前さんの様子を見に来ただけだからな」

「そうか。

 それじゃあ、また今度」

「ある程度顔を出すようにするよ」

「分かった。

 でも、このまま帰るのか?」

 からかうように聞いてくるグゴガ・ル。

 嫌みの無いその問いかけに、

「いやあ、折角来たんだから俺も子孫繁栄に尽力するさ」

 笑って答える。

「じゃあ、頑張らないとな。

 お互いに」

「おう。

 俺も負けてられねえ」

 そう言って二人は笑った。



 それからしばらく聖女を相手にはげんでから。

 後方の司令部にも顔を出し、状況を確かめていく。

 まだ帰ってこない邪神官を待ちつつ、代行をつとめるイビルエルフと話し合う。

「今のところは順調だ。

 敵の動きを考えなければな」

 そういうイビルエルフの顔はこわばっている。

 この先への心配がそうさせていた。

「布教区になってるこの地域の運営は問題ない。

 今のところは上手く動いてる」

 それは事実であり、新たに魔族/異種族連合の領土となったこの地域の統治は比較的上手くいっていた。

 やってくる移住希望者が土地に入っていき、村や町の新たな住人となっている。

 住居や生活用品はそのまま使えるので、再利用もしている。

 食料も、敵から奪ったものを提供してるので当面は問題がない。

 後方から送り込まれてくる援助物資もある。

 商人や職人も入ってきており、徐々に人の居住地としての機能を持ちつつある。

 細かい所を見れば、片付いて問題もあるにはある。

 だが、全体としてはそこそこ上手くいっている。

「けど、敵の動きがな」

 懸念するべきはそこだった。

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